馬毛島基地整備「隊員と共存共栄図る」 西之表市長、2期目最後の所信表明でも「賛否」踏み込まず 市長選は来年2月、最多7人で争う公算
鹿児島県西之表市の八板俊輔市長は29日開会した市議会定例会の所信表明で、馬毛島の自衛隊基地整備について「国は立ち止まる気配を見せない」と指摘する一方、今後の方針を巡っては「種子島駐在の自衛隊員と共存共栄を図る」と述べた。賛否には踏み込まず、「正確な情報収集と市民への判断材料の提供、最善の道の選択が基本だ」と従来の考え方を繰り返した。 【写真】〈馬毛島の変化を写真で比べる〉北側上空から見た馬毛島。左は2023年1月12日撮影、右は24年1月8日撮影=いずれも本社チャーター機から
来年2月に次期市長選を控え、2期目で最後の所信表明。現実的な対応として「共存共栄」を打ち出しつつも、国の対応に一定の不信感をにじませた。 馬毛島を巡り、国が島の大半を持つ民間地権者と売買に合意した2019年11月を起点に「激動の5年」と表現。「(23年1月の)着工前後の発言で市民に十分な理解が得られていなかった」と改めて陳謝した上で「賛成、反対の二者択一で解決できる問題ではない」と強調した。 賛否の明言を避けた理由について、八板市長は本会議終了後の取材に「着工後に生じた問題の対応を優先している。中立という立場とも違う」と説明した。 八板市長は過去2度の市長選で基地整備に反対の立場を取った。しかし、22年1月に日米両政府が米軍機訓練移転を伴う基地の整備地に馬毛島を正式決定したことで「新たな局面に入った」とし、現在まで賛否を明言していない。 任期満了に伴う西之表市長選は来年1月26日告示、2月2日投開票。再選挙となった2017年の6人を超え、最多の7人で争う可能性が高まっている。
南日本新聞 | 鹿児島