【磐田】劇的な逆転勝ちでJ1残留にのぞみつなぐ 後半44分に山田大記がPKで決勝点
<明治安田J1:磐田2-1東京>◇30日◇第37節◇ヤマハ ジュビロ磐田が2-1で東京に逆転勝ちし、J1残留にのぞみをつないだ。1-1で迎えた後半44分、MF山田大記(35)がPKで決勝点。今季限りでの現役引退を発表しているベテランが劇的勝利の主役になった。クラブの下部組織で育ち、入団1年目で背番号「10」をつけてプレー。現役ラストマッチとなる鳥栖との最終節で勝利し、奇跡のJ1残留に導く。 クラブの誇りを背負ってきたからこそ決められたゴールだった。磐田は1-1で迎えた後半44分にPKのチャンスを迎えた。山田はキッカーに名乗り出た。「自分が責任を背負うつもりだった」。引き分けでもJ2降格が決まる一戦でのラストチャンス。外せば最悪の結末も待っていた中で覚悟を決めた。「悔いのないように得意な形で蹴ろうと思った」。 短い助走から左足でゴール右隅に流し込み、決勝点。利き足とは逆で蹴る自身の形でネットを揺らすと、サポーター席までかけ出し、ガッツポーズした。本拠地・ヤマハでのラストマッチで値千金の1発。山田は「サッカーの神様はいるんだと思った」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。 11年に明大から磐田に加入。1度は欧州移籍でクラブを離れたが、国内では磐田一筋で戦ってきた。クラブの下部組織で育ち、「自分にとってはジュビロが特別なクラブ」。過去3度のJ2降格を経験するなど、苦悩も多かった。それでも、自身が10番をつけてプレーした経験は「夢の世界にいるようだった」と振り返った。 引退を決めたのは「10日ぐらい前」で、決断した理由は「個人で相手に勝てないと思うことが多くなった」と明かした。現役生活最後の試合は8日のアウェー鳥栖戦。チームの命運をかけた大一番になる。 残留のボーダーラインとなる17位新潟との勝ち点差は「3」。残留へは勝利が絶対条件となる状況はこの日と変わらないが、風向きは大きく変わった。山田は「今日は僕のホームでの最後にあまりあるぐらいの試合をプレゼントしてもらった。次は僕のことよりもチームのことが大事。何が何でもJ1に残りたい」。泣いても笑っても、ラスト90分。残留を置き土産にスパイクを脱ぐ。【神谷亮磨】