〈アクネ〉などの空間を手掛ける夫婦のクラシックな住まい|デンマーク【北欧各国、クリエイターの住まい】
北欧を拠点に活躍するクリエイターは、どんな部屋に暮らしているのか。インテリアデザイナーからブランドのファウンダー、ギャラリストまで、北欧各都市、今をときめくクリエイターたちの部屋を訪ね、ドキュメントしました。 【フォトギャラリーを見る】 今回は、名だたるファッションブランドの店舗設計を手がけるハッレロードを率いるクリスチャンとルクサンドラ夫妻が選んだ、1960年代に建てられた機能主義建築のアパート。クラシックな家具と自身のDIYで住空間を構成しています。 Area:ストックホルム Size:83平米 Type:アパート
ストックホルムのインテリアデザインスタジオ、ハッレロードを率いるクリスチャンとルクサンドラ夫妻。彼らが設計・デザインした店舗のリストには〈アクネ・ストゥディオズ〉〈トーテム〉のようなスウェーデンを代表するファッションブランドが並ぶ。家具職人でもあるクリスチャンは細部に、建築家のルクサンドラは空間にこだわる。その異なった視点がお互いを補い、刺激し、いいアイデアが生まれるという。
「若々しくて芸術的な〈アクネ〉には、マックス・ラムやダニエル・シルバーのようなアーティストを起用し、異素材を組み合わせたブルータルで遊び心のある空間にしています」 8歳になる娘と一緒に暮らす2人の住まいは、セーデルマルム地区にあるスタジオと同じ建物内にある。コンテンポラリーで前衛的な空間を次々と手がけている一方、実はクラシックなデザインが好みなのだとか。
心を寄せるのは、古典的な北欧デザイナーや建築家。
「北欧だとグンナール・アスプルンドやカール・マルムステン、オットー・シュルツのような古典的なデザイナーや建築家が好きなんです。アパートは気に入った1960年代の佇まいを残して、10年前に改装をしました。家具はイタリアのデザインもミックスしています」
目にかなうものがなければ作る、と話す家具職人のクリスチャンは、ダイニングテーブルを自作。テラゾタイルの床はブカレストに住む叔母のアパートで魅了されて採用したものだ。天井は1960年代にイタリアで使われていた光沢のある塗料で仕上げた。差し込む光が天井に反射し、北欧の暗い冬でも部屋を明るく照らしてくれるそう。 「人が集う場所になるようにデイベッドを置いてミニバーを作りたいけど、今は時間がなくて。実現したら、やっと自分たちらしい住まいになる気がします」
photo_Maya Matsuura text_Miki Osako