【韓国ドラマ】何度でも見たい傑作推理時代劇をプレイバック!
日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介!今回は、現代ではない時代を背景に、芸に生きる女性たちの姿を描いたドラマをセレクト。芸事に打ち込む姿は、見る者の心を大きく揺さぶる。 韓流名作ドラマ「芸に生きる女性たち」3選(画像)
朝鮮時代の2人の天才画家の運命を描く 『風の絵師』
18世紀、イ・サンこと正祖の時代、キム・ホンドとシン・ユンボクという朝鮮後期最高の画家として知られる実在の2人を主人公に、シン・ユンボクは実は女性だったという大胆奇抜な発想で描き出した同名のベストセラー小説のドラマ化です。歴史的な実在人物たちのビハインドストーリーをミステリーとして構成し、“ファクション推理時代劇”という独特なジャンルを誕生させた作品でもあります。 シン・ユンボクは父親の死の真相を明かすために、男装して宮廷の絵師となるのですが、男としても女としても生きられない悲しみを背負った人物として表現され、そんなユンボクが、絵を描くとはどういうことなのかを師匠のキム・ホンドを通じて学び取っていく芸術家としての成長物語が描かれます。一枚の絵によって秘めた情事が暴かれそうになったり、王の肖像画を巡って改革派と保守派の権力争いがおこったり、事件の中心にはすべて絵が存在し、それをさらに絵で解決していく構成が巧みです。
こんな風に現存する2人が残した名画の数々に、想像を膨らませたエピソードをフィクションで作り上げ、ストーリーの中に見事に溶け込ませてドラマチックな物語に仕上げていく手腕が素晴らしいです。師匠と弟子でありながら、互いの命を投げ出さんばかりの2人の天才画家の魂の交流と共感。そして一枚の絵から立ち上ってくる描き手の情熱と思い。ドラマの中で数々の名画を鑑賞する醍醐味もあり、その素晴らしさに心打たれながらも、風雅の漂う、秘めやかな恋しさが募る作品です。 ■U-NEXTにて配信中 TEXT BY CHIKAYO TASHIRO 田代親世 韓流ナビゲーター 韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。