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おもてなしの心をひと皿に。「そば前」を盛り上げる四季折々のお通し

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食べログマガジン

塩を使ったそばつゆあんかけではじまる、至福の「そば前」

そばを楽しむだけが、そば屋にあらず。そばの前にお酒を楽しむ「そば前」。江戸から続くこの粋な嗜みを、今宵は外苑前のそば店「勢揃坂 蕎 ぎん清」で。

「勢揃坂」は、「勢揃坂 蕎 ぎん清」のすぐ前にある坂のこと。平安末期の奥州征伐の際に兵を揃えて出発したことからその名が付けられた。女将さん曰く、「お客様も勢揃いしてもらえますように」と意味も込めて、坂の名が店名の一部になったとか。

席につき、飲み物を頼む。するとお酒とともに小鉢がのったお盆が運ばれてきた。女将さんにとってお通しは、そば前の最初のおもてなし。 「お通しは、お料理が出るまでのちょっとした時間つぶし。お客様にはその時間も楽しんでもらえるよう、季節の食材を使用した、ご満足いただけるようなお通しを考えています」

季節によってメニューは変わる。例えば、夏のお通しでは「さきいかの天ぷら」、秋は千葉県産の「落花生の塩茹で」が好評だとか。冬には、冷えた体を温められるようにと「粕汁」を出してくれる。

取材時のお通しは、「湯葉と豆腐のそばつゆあんかけ」。湯葉と豆腐の上から温かいあんかけをかけたひと皿。あんかけには、店主の前田銀次さんが「こはく」と名付けた塩ベースのそばつゆを採用。三重県産の特別な「真珠塩」という塩でつくられたこの出汁は、醤油にはない繊細な旨味が魅力だ。

塩だからこそ、素材の持ち味を引き出してくれる。塩の奥深さを知る店主がつくったそばつゆのあんは、ほっこりとした優しさと、上品さが同居していた。 あんには、「甘汁(あまじる)」というそばつゆを使う。甘汁とは、かけそばに用いるそばつゆで毎日作るのが特徴。冷たいそばには一週間ほど寝かしてつくる「から汁」を用いられる。提供の仕方によって、新鮮なつゆと熟成させたつゆを使い分けており、あんかけはそんな店主の「食」への気遣いがうかがえる一品だ。 かならずしも出来立てがおいしいというわけではなく、料理によっては熟成された方が引き立つ香りや味もある。締めのそばにたどり着くまでの「流れ」に身を任せたくなる、そんなそば前のスタートが、「ぎん清」のお通しだ。

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