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雇用助成金、十分に活用されず 休業補償がなかなか進まない理由は?

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THE PAGE

 新型コロナウイルスの経済的な影響を緩和する施策のひとつである、雇用調整助成金が十分に活用されていません。役所の体制が整っていないことに加え、制度が周知徹底されておらず、存在を知らない事業者も多いことが原因といわれています。一方、ドイツやフランスでは同じ制度が迅速に実施され、休業補償が行われています。なぜこのような状況になっているのでしょうか。

 雇用調整助成金は雇用保険の制度のひとつであり、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされ、社員を休ませた場合、社員に支払う休業手当の半分から3分の2を助成するというものです。今回のコロナショックでは、適用条件などが緩和されており、助成の割合も中小企業は8割に、大企業も3分の2に引き上げられました(解雇等を行わない場合、中小企業は10分の9、大企業は4分の3)。この助成金があれば、休業中に社員に支払う金額が大幅に減りますから、企業にとっては休業を決断しやすくなるはずです。  政府が緊急事態宣言を発令し、休業中の補償が大きな問題となっていますが、どういうわけか、この制度の活用が進んでいません。4月17日の時点では、約4700件の届け出が出ていましたが、支給が決定したのはわずか3件でした。給付を受けるためには、まず休業計画書を提出した上で(今回は事後でも可能)、社員に休業手当を支払い、その実績をもとに助成金を申請して、給付を受けるという流れになっていますから、まずは社員に手当を支払わなければなりません。経営に余裕がない企業の場合、この時点ですでに対応できない可能性があるわけです。  また、通常よりも多くの相談が寄せられているため、役所(労働局)の窓口が混雑しており、支給が8月にずれ込むという報道もあります。厚生労働省では相談員を増員することで対処するとしていますし、菅官房長官は原則として1カ月で支給できるよう取り組むと説明していますが、どの程度、迅速化されるのかは現時点では何とも言えません。  同じような制度はドイツやフランスにもありますが、ドイツでは3月末の時点で47万社が申請するなど、手続きが迅速に行われているようです。  ドイツやフランスは、これ以外にも労働関係の助成金が豊富に揃っており、日頃から多くの企業が諸制度を利用しているため、企業の側も仕組みをよく理解しています。日本の場合、労働法制や制度に詳しくない企業も多く、中にはこの支援策の存在自体を知らなかったところもあるようです。行政も、企業への指導が厳しすぎると経営に影響するとの批判があり、周知を徹底してこなかったという経緯もあります。  常日頃から、諸制度を周知徹底させ、企業側もしっかりと準備をしておかなければ、イザという時に迅速に対処することはできません。結局は日常的な努力の積み重ねがモノを言うということになるでしょう。 (The Capital Tribune Japan)

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