「5000万円」の住宅を返済期間「35年」で購入! 繰り上げ返済が向いている人とは? 注意点についても解説
「いったん住宅ローンを組んだけれど、返済期間中にまとまった資金ができた」という場合には、繰り上げ返済をした方がよいのでしょうか。実は繰り上げ返済には、いくつかの注意点が存在します。本記事では、繰り上げ返済を検討するときに注意したいポイントと、繰り上げ返済に向いている人の特徴について解説します。
繰り上げ返済の注意点
繰り上げ返済とは、ローン残債の一部やすべてを前倒しで返済することです。繰り上げ返済のメリットとしては、利息を軽減できるということが挙げられます。一方で、繰り上げ返済には次のような注意点があります。 ■現金が不足する 1つ目の注意点は、現金が不足する危険があることです。繰り上げ返済をすればその分、手元の現金が減ってしまいます。繰り上げ返済後にほとんど現金が残らない状態では、返済直後にもしもけがや病気などで急な出費が生じた際、対応することが難しくなります。 手元資金が枯渇し、カードローンなどの高い金利で再びローンを組む事態になってしまっては、繰り上げ返済の意味がなくなってしまいます。繰り上げ返済を検討する際には、手元資金の状況をよく確認することが重要です。 ■住宅ローン控除の適用額が減る 繰り上げ返済の2つ目の注意点は、住宅ローン控除の適用額が減ってしまうことです。 住宅ローン控除とは、返済期間10年以上の住宅ローンを活用して住宅を購入した場合に、一定の条件を満たせば10年間(または13年間)にわたり、住宅ローン残高の0.7%に対して所得税と住民税から控除できる制度です。 住宅ローン控除は住宅ローン残高に応じて控除額が決まるため、繰り上げ返済をして残高が減ってしまうと、それに伴い控除額も減ってしまいます。 例えば、年末の住宅ローン残高が3000万円の場合、0.7%にあたる21万円が所得税と住民税から控除できます。しかし、その年に繰り上げ返済を行い、残高が2500万円になった場合は控除額が17万5000円に減ってしまうのです(※実際の控除額は状況によって異なる場合があります)。 さらに、繰り上げ返済をして、返済期間が10年未満になってしまうと、住宅ローン控除の適用が受けられません。 ■団体信用生命保険の効果が薄まる 3つ目は、生命保険の機能がある団体信用生命保険(団信)の効果が薄まることです。 一般的に住宅ローンを組む場合、同時に団信にも加入します。団信は加入者に万一のことがあった場合に住宅ローンの残債が0になる制度で、生命保険のような機能を果たします。 ただし団信は、もし繰り上げ返済で住宅ローンの残債が減った場合、生命保険の保障額にあたる部分もその分、減ってしまうのです。