THE ALFEEと甲斐バンドのデビューアルバムが象徴するもの、共通点と相違点を語る
共通点と相違点がありながら様々なことを象徴している2組
静かな伝説 / 竹内まりや 今流れているのはこの番組の後テーマ、デビュー45周年、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。 最初から成功を手にした人とそういう始まりじゃなかった人がいると何度も言ってきました。今週の2組もそんな例ですね。ただ、共通点と相違点がいくつかありますね。福岡と東京で同じような音楽を聴いてきて、同じ年にプロになった。違っていたのは甲斐バンドはプロの自覚があった。九州から東京で成功するんだ、プロになるために組んだバンドで戦いに来た彼らと、東京の育ちのいい音楽好きな若者たち。そういう欲がなかったんでしょうね。売れるためには何でもやりますとか、どんな嫌な思いをしてでも戦い抜いてやるみたいなことじゃなくて、楽しければいいじゃないですか、僕らこれで十分楽しめていますからというようなことだった。いろいろなことをこの2組は象徴していますね。こんなふうに並べないと、なかなかわからないこともあったなと、あらためて思ったりもしました。 やっぱり始まりが問題だったんじゃないんですね。どんなふうに始まったじゃなくて、どんなふうにそこから自分たちになっていったか。甲斐バンドも自分たちになろうとしたんですね。THE ALFEEは時間がかかりましたけども、長い時間がかかりながら自分たちの姿が見えてきて、そこに向かって歩きだして、自分たちでそれを掴みにいった。そうやってキャリアを重ねてきた2組なんだなという意味ではいい終わり方になったのではないかなと思ったりもしました。 思うように始められないことの方が、多いんだと思うんです。思うように始められた人の方が珍しい、みんな思うように始められない中で、落ち込まずにめげずに、楽しみながらずっとキャリアを重ねてきた。そういう周年アーティストがどんどん出てきているのが日本の音楽の成熟ですね。始めることに意味がある。そんな1カ月だと思います。今年デビューをしたすべての方の新生活に幸あることを願いながら終わろうと思います。 <INFORMATION> 田家秀樹 1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。 「J-POP LEGEND CAFE」 月 21:00-22:00 音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストにスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。 OFFICIAL WEBSITE : OFFICIAL Twitter :@fmcocolo765 OFFICIAL Facebook : @FMCOCOLO radikoなら、パソコン・スマートフォンでFM COCOLOが無料でクリアに聴けます! →
Rolling Stone Japan 編集部