被災地トイレの1か月…どんな試行錯誤が 【#みんなのギモン】
■ “ホッとする時間を”トイレトレーラーが活躍
避難生活が長引く中で、快適さを提供しようと全国の自治体から運ばれているのが移動設置型のトイレトレーラーです。 26日、石川県珠洲市の避難所になっている若山小学校には、車体に富士山が描かれたトイレトレーラーがワゴン車にけん引されて到着しました。届けたのは静岡県富士市の職員ら3人。積もる雪をスコップでかき分けて玄関前に設置しました。個室が4つ。くみ取りが必要ですが、便器の横のペダルを踏めば水が流せるタイプです。 便座は暖房が入って暖かく、照明や換気扇、手を洗うシンクや鏡もついて日常に近い形です。また便器の横にはシャワーヘッドもつき、便器が汚れたら洗い流せるようにもなっています。 富士市の職員「子どもたちが使うことになるんですか?」 地元の担当者「避難している人も使うんですが、学校のトイレは子どもたちにはもう無理だから…」 水が流れないために学校のトイレ環境は劣悪になっていました。 さっそく児童らが連れだってトレーラーを見に来ました。個室の扉をあけると…「久しぶりだぁ」。思わず声が出ます。担当者に使い方を教わりペダルを踏むと水が流れ、「すごい!」と嬉しそう。 富士市はもともと寒冷地仕様になっていなかったトイレトレーラーを改修して届けました。太陽光で充電できるバッテリーにより停電中でも使用できて、注水やくみ取りを続ければ長期間稼働できます。 派遣された富士市の職員らは数日間滞在して対応にあたり、その後は現地スタッフに対応してもらいながらトイレトレーラーは当面珠洲市に残すということです。富士市の職員・太田智久さんは「疲労もたまっている頃だと思います。個室に入った時だけでもホッとする時間になれば」と話します。 こうしたトイレトレーラーが少しでも早く被災地に届くよう自治体との調整を行ってるのがNPO「助けあいジャパン」が取り組む「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」です。 ふだんは花火大会などのイベントに活用されていますが、災害が発生すると、それぞれの自治体から駆けつける仕組みです。 発災翌日の1月2日正午過ぎに七尾市から派遣要請があり、京都府亀岡市のトイレトレーラーがただちに出発、移動中も道路状況などについてLINEで他の自治体に情報共有しながら、その日の午後11時過ぎに現地に到着してすぐに利用が始まりました。 その後も北海道沼田町、大阪府箕面市、高知市、神奈川県鎌倉市、福岡県須恵町など全国20近くの自治体から支援の申し出が続き、七尾市、輪島市、珠洲市、能登町の4市町に派遣されています。