【選手権】競争力の高さが強みの流通経済大柏は 紛れもなく優勝候補の一角だ
屈指の激戦区である千葉県を勝ち抜き、第103回全国高校サッカー選手権への出場権を獲得したのが流経大柏だ。県決勝では、近年、急速に力を着けてきた日体大柏を4-1と圧倒。プレー強度で上回る流経大柏がセットプレーからのチャンスを活かし、効率よく得点を重ね、地力の差を見せつけた(ちなみに、“柏ダービー”となった決勝の顔合わせは選手権の県予選において史上初)。 【フォトギャラリー】日体大柏 vs 流通経済大柏 全国にその名をとどろかす強豪校を率いて5年目に入る榎本雅大監督は、今年のチームのキーワードとして「競争力」を挙げている。例年にも増して選手層が厚く、アンダーカテゴリーの代表経験者でさえ、必ずしもスタメン確保とは限らないほどなのだ。 「プリンス(リーグ関東2部)での戦いを通して成長したBチームの選手たちがいて、プレミア(リーグEAST)のAチームとの融合を図りました。紅白戦ではBチームが勝つこともありますし、チーム内の競争力の高さが自分たちの強みだと感じています」(榎本監督) 個性豊かな選手がそろい、誰が出ても遜色なく、むしろ交代選手によって一段とギアが上がっていくような勇ましい姿を見せる流経大柏は、紛れもなく今大会の優勝候補のひとつといって差し支えないだろう。 県予選3試合で10得点と爆発力を秘める攻撃陣の軸は、卒業後、Jリーグの湘南ベルマーレに進むパワフルなFW松本果成(3年)とカターレ富山に進むテクニシャンのMF亀田歩夢(3年)をはじめ、ポストワークに優れるFW粕谷悠(3年)や複数のポジションをこなせるMF堀川由幹(3年)、エースナンバーの10番を背負うMF柚木創(3年)らになる。 かたや堅守のかなめは、ディフェンスラインの中央に並ぶ佐藤夢真(3年)と奈須琉世(3年)。ともに空中戦に強く、コーチングに優れるセンターバックで、彼ら2人はダブルキャプテンとしてもチームをまとめる役割を担う。 「技術とアイデア、スピードを活かした攻撃が持ち味で、ボールを奪われたあとの切り替えの早さや球際はチームとして徹底しています」と榎本監督が明言するとおり、流経大柏のサッカーを支えているのは攻守におけるインテンシティの高さにほかならない。 選手権と総体を含め、流経大柏が全国大会に出場するのは3年ぶりだが、それが意味するのは現3年生にとって「初の全国」という点だ。キャプテンのひとりである佐藤は、こういって胸を膨らませた。 「全国大会というのがどんな景色なのか、これまで僕らは出ていないので、まったくわかりません。自分たちで確かめたいと思います。今から楽しみです!」 3大会ぶり8回目の選手権出場を決めた流経大柏が目指すのは、第86回大会以来、2度目の全国制覇だが、選手権は負けたら終わりのトーナメント形式。ともに順当に勝ち上がっていけば、3回戦で優勝候補の一角、大津(熊本)と激突するはずだ。その大津は高校年代の最高峰リーグであるU-18 プレミアリーグのWESTを2試合残した段階で制した強豪だけに、全国制覇に向けて大きな関門になるだろう。 (文・写真=小室功)