東大合格率80%超、入塾試験なし「平岡塾」とは 「お帰り問題」で手厚くフォロー、飲食も自由
独自プリントで英文法を徹底解説、中2冬で中高6年分修了
東京の渋谷にある「平岡塾」は、1965年の創立以来、日本語を介した英文法の理解に重きを置いてきた英語専門塾だ。指定校制は取らず、入塾試験も実施していないにもかかわらず、東大合格率は80%以上を維持しているという。1回の授業は3~5時間程度、生徒は靴を脱いで座卓に向かい合って学ぶが、いったいどんな内容なのだろうか。専任講師の今井秀太郎氏に聞いた。 この記事の画像を見る 「平岡塾」の始まりは1965年、東京教育大学附属駒場中学校(当時、現・筑波大学附属駒場中学校)に通っていた生徒が、学校の英語教育に物足りなさを訴えたことをきっかけに、母の平岡芳江氏が息子とその友人に自ら英語を教えた小さな教室だ。現在は東京の渋谷にある1校舎に約1700人が通う。首都圏を中心に難関中高の生徒が数多く通うが、公立校の生徒や小学生、英語を学び直したい大人にも門戸は広く開かれており、中学生のクラスを親子で受講するケースもあるという。 合格実績については、東大・京大などの国立大、難関大学の医学部、早慶上智といった難関私立大学への合格者を多数輩出。その他、ロンドン大学医学部、プリンストン大学博士課程、マサチューセッツ工科大学などに在籍する卒業生もいる。しかしこうした実績について、専任講師の今井秀太郎氏は「あくまでも結果であり、通過点にすぎない」と話す。 「当塾が生徒に身に付けてほしいのは、受験という枠を超えて国際社会で通用する『一生モノの英語力』です。卒業生の中にはScience誌やNature誌に論文が掲載された方もいますが、こうした学術論文は冠詞の使い方ひとつとっても間違いが許されません。将来、そのレベルの英語力が求められる世界の第一線で活躍することとなった際に、『自分には平岡塾で培った英語の土台があるから大丈夫』と思える塾でありたいと考えています」 そんな平岡塾が英語の土台として重視するのが英文法だ。オリジナルプリントで「なぜこうなるのか」を日本語で丁寧に教えていく。中1から受講した場合、中2の冬には中高6年間で習う文法の大部分を一通り学び終えて2周目に入り、高2までに6周目を終えるという。 現在の中高生の英語学習に関して、「学校で文法の説明が少なく、混乱している生徒が多い」と今井氏。外国語を習得するうえで、母語の日本語を思考言語として活用することは必要不可欠だという。「母語で英語の仕組みを論理的に理解し深く思考することで、言語全般への興味も広がります。当塾で英語を体系立てて学んだ経験が、大学での第二外国語でも役立ったと話す卒業生もいます」。そこには言語を扱う塾として、生徒の言語能力全般を鍛え、日本語を含めた言語自体を楽しんでほしいという平岡塾の意図がある。 英文和訳においては、まず英語の意味を忠実に日本語に訳すことに徹し、さらにその和訳が日本語として自然なものかどうかを徹底的に検討する。これを繰り返すことで、固い和訳を避けようと、つい英文自体をあいまいに意訳することが無意識のうちになくなるそうだ。