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「またここに住めるのか」球磨村・神瀬地区 熊本豪雨2カ月 ボランティア入れぬ集落も 

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熊本日日新聞

 7月の熊本豪雨から4日で2カ月。甚大な被害が出た熊本県内各地で復旧が徐々に進むが、今も生活再建を見通せない被災地もある。球磨川や支流が氾濫した球磨村の神瀬[こうのせ]地区は、住宅や道路をのみ込んだ岩石や土砂の撤去が難航。住民やボランティアの手が及ばない集落や、村外避難で行き来がままならない高齢者は足踏みを強いられている。「神瀬にまた住めるのか」。不安を抱えながら再生の道を探る住民主導の動きも出てきた。(隅川俊彦、小多崇) ◇「撤去も解体も、自分たちだけでは無理」  村北部の神瀬地区は、旧神瀬小校区の計19集落。豪雨被害が大きい球磨川対岸の芦北町や下流の八代市坂本町に接する山間地だ。幹線の国道219号は一部が球磨川に崩れ落ちるなどしており、片側のみ通れる箇所が点在。通行できるのは許可車両だけだ。 「ボランティアが入れるのは国道沿いの集落に限られる」と災害ボランティアセンターを運営する村社会福祉協議会。  球磨川支流の川内川沿いの集落は、人力では到底運び出せない大量の岩石が住宅に流れ込んでいる。川や道も埋めた岩石の撤去を国土交通省が急ぐが、村社協は「安全とは言えずボランティアはまだ派遣できない」と言う。  集落ごとの民営水道は一部で断水が続く。川内川上流の日当[ひあて]集落(13世帯)の日當[ひあて]秀親さん(54)は8月上旬、人吉市の避難所から帰還。沢の水をトイレや洗い物に使い、飲食はペットボトルの水でしのぐ。「日当にいるのは3世帯だけ。県外の娘宅に移り住んだ高齢者もいる」

 球磨川との合流地点付近は神瀬地区の中心地だ。郵便局や商店などが集まるが再開は程遠い。八代市に避難中の高校講師、有田和生さん(65)も深刻な被害を受けた。自宅の土砂搬出はなんとか終えたが、近くの妻の実家は1階の天井近くまで岩と土砂が埋まったまま。空き家のため公費解体は対象外だ。「撤去も解体も、自分たちだけじゃ無理。どうすればいいのか」と表情をゆがめる。  建築板金業の上蔀[うわしとみ]忠成さん(46)は高台にある神瀬保育園に寝泊まりしながら、浸水した自宅の片付けを続ける。「若い世代がいる家はまだいい。遠方の避難所で、被災した自分の家を見にも来られない高齢者がいる」  村によると2日現在、村内外の避難所に身を寄せる人は村全体で314人。うち250人以上が人吉市や宇城市など村外にとどまる。村内の球磨中に新設する避難所への集約が週末に始まるが、最多の160人がいる旧多良木高(多良木町)の避難所は継続方針。神瀬地区の住民もおり、40キロ超の距離が行き来の妨げになっている。  台風の接近が続く。「雨が降れば、また道路がふさがり、水があふれるかもしれない」と上蔀さん。「このままでは家を再建していいのかも見通せない。国や県、村は早く生活再建の道筋を見せてほしい」と求めている。

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