「性欲を抑える薬はありますか」毎晩体を求めてくる70代夫に辟易…高齢者たちの“性”のリアル
高齢になると性感染症にかかるリスクも高まる
免疫の機能が落ちるということは当然、性感染症にもかかりやすくなりますし、治療しても治りづらくなります。 実際、年々、高齢者の性感染症の数は増加しています。厚労省が発表している「年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移」で、60歳以上の患者数を平成12(2000)年と平成30(2018)年とで比較すると、よくわかります。
増加している高齢者の性感染症
「性器クラミジア」(246人→301人)、「性器ヘルペス」(885人→1138人)、「尖圭コンジローマ」(94人→296人)、「淋菌」(120人→209人)、「梅毒」(224人→543人)と確実に増えているのがわかります。 ただし、この数字は国から指定された「定点」と呼ばれる医療機関からの患者報告数です。また、「梅毒」と「HIV感染、エイズ」は全数報告で、診断した医師は1週間以内に都道府県知事に届け出なければなりません。 「定数」が増えれば、患者数が増えるのは当然で、比較の意味がありません。そこで「定点」の医療機関数を見てみると、平成12(2000)年が897、平成30(2018)年は984と増えています。 では、「定点」である1医療機関当たりの患者数で比較したらどうなるのでしょうか? 平成12(2000)年と30(2018)年を比べると、「性器クラミジア」(0.274人→0.305人)、「性器ヘルペス」(0.986人→1.156人)、「尖圭コンジローマ」(0.104人→0.300人)、「淋菌」(0.133人→0.212人)、「梅毒」(0.249人→0.551人)とやはり増えています。 これで性感染症の患者は、以前に比べて全体的に増えていることがわかりますが、注意したいのは、この数字は全国の医療機関数(17万9479=医療施設動態調査令和元[2019]年11月末概数)から見れば、ほんの一部に過ぎないことです。症状のない患者は実際の患者の5倍以上はいると言われていますから、性感染症は非常に注意すべき感染症なのです。