井上尚弥が最強王者に2回衝撃TKO勝利でWBSS決勝進出!「思い出深い1日になった」
ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級準決勝が18日(日本時間19日)英国グラスゴーの「SSEハイドロ」で行われ、WBA世界バンタム級王者、井上尚弥(26、大橋)がIBF世界同級王者、エマヌエル・ロドリゲス(26、プエルトリコ)を2回1分19秒、衝撃的なTKO勝利で下し決勝へ駒を進めた。1回は緊迫する内容だったが、2回に計3度のダウンを奪い勝負を決した。この試合にはWBAのタイトルはかけられていなかったものの、井上の勝利でWBA2度目の防衛は認められ、さらにがIBFの同級ベルトを獲得して伝統のリング誌のベルトも手にした。井上は先に準決勝を勝ち抜き、試合後リングに上がった元5階級王者、ノニト・ドネア(36、フィリピン)と決勝戦を戦う。井上の戦績は18戦全勝(16KO)となった。 グラスゴーの衝撃だった。 2ラウンド、ショートの左フックが炸裂した。右ボディから左フックのコンビネーションがロドリゲスの左と相打ちになったが、井上のそれがカウンターとなりロドリゲスは腰から崩れ落ちた。もう足にきていた。立ち上がってきたが、ロープを背負わせて左、右とボディをえぐると、両手をついてダウン。セコンドを見たロドリゲスは、顔をしかめて鼻血を吹き出してクビを横に振った。 それでも立ち上がったためレフェリーは試合を続行させたが、井上が襲いかかり再び左のボディでロドリゲスはダウンした。もう戦意は喪失。ファイティングポーズをとることができずレフェリーがTKOを宣言した。 1ラウンド目は緊迫していた。プレッシャーをかけて前に出たのはロドリゲスの方だった。左のジャブから右を打ち下ろし、動きが堅い井上は何発かスイング系の左フックを打たれた。井上は下がりながらも打った後に体の位置を変え冷静にディフェンスを意識しながら左のフックのカウンターを狙う。それでも終始前に出たのはロドリゲスで、井上は「ロドリゲスがプレッシャーかけてきて1ラウンドが終わって、どうなることか自分でも予測できない状況だった」という。 だが、2ラウンドになると井上は何かを察知したかのように前後の動きを早めて打ち合いに出た。スタートにあった力みが消えていた。ワンツースリーのコンビネーションでペースを取り、最初のダウンシーンにつなげたのである。 試合前、井上は「技術戦になる」と語っていたが、まさに技術戦を制しての衝撃的なTKO劇だった。 リング上でインタビューを受けた井上は「常に平常心で戦おうという気持ちでイギリスに乗り込んできた。その通り。いいパフォーマンスが出せてホッとしています」が第一声。 たくさんの日本の応援団が観客席を埋め、日本にいる感じだったのでは?と聞かれ「すごくホーム感を感じて後押しをしてくれた会場。ここグラスゴーは、思い出深い1日になった」と答え、それが英訳されると会場の英国スコットランドのファンが呼応した。 リング上に観戦に訪れていた決勝の相手ドネアが上がった。 「ノニトはキャリアがあって強い選手。これからどう戦うかを練っていきたい。彼は僕の憧れの選手。ファイナルで戦えることを光栄に思う」 井上がそう伝えるとドネアにもマイクを向けられ「井上は素晴らしい試合をした。彼はやるべきことをやり遂げた。待たないで自分から仕掛けて、ファンが期待していた通りの結果にした。戦いましょう。これが運命です。対戦すると予感していました。最高の試合になるでしょう」と答えた。どう井上対策をするのかと聞かれると「彼はモンスター。これから考えますよ。凄いファイターですからね。知性派でもある。21歳に戻った感じで頑張りますよ」と言うのが精一杯だった。井上と同じく左フック一発でKO勝利して決勝に勝ち上がってきたドネアだが、全盛期に比べると衰えは隠せず、今回のロドリゲス戦よりも早い決着になるのかもしれない。