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米暴動、コロナ失業も背景に

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Japan In-depth

【まとめ】

・米国暴動は労働者層の鬱積した不満が爆発した可能性。 ・ミネアポリスは南部各州ほど人種差別が根深い感じではない。 ・中国政府による国家安全法導入は法的に大いに疑問。

日本の大手メディアも漸く報道を始めたようだが、今アメリカの大都市では暴動と略奪が横行している。今週はまずこのニュースを取り上げよう。事の発端は確か、ミネアポリスの白人警官三人が拘束中の黒人市民を窒息死させた事件が大々的に報じられたことだと記憶する。実はこの種の悲劇、米国では決して珍しいことではない。 では、なぜ今回この事件が全米を揺るがす大問題になったのか。恐らく最大の理由は新型コロナウイルス感染拡大で米国の失業者が急増したことだろう。3月以降、米国の新規失業者は2500万人を超えているはずだ。日本と違って簡単に解雇される労働者の多くは当然マイナリティ層、彼らの鬱積した不満が爆発した可能性がある。

ミネアポリスといえば、筆者が44年前に留学したミネソタ大学のある懐かしい町だ。同州を留学先に選んだ理由の一つは米国全国平均の州であること。意外に知られていないが、人種構成から生活水準、更には英語の方言まで、ミネソタ州の数値は全米平均に近いものらしい。確かに、言語は訛りのない平均的英語だったと記憶する。 人種構成的には白人が83.1%、アフリカ系が5.2%、ヒスパニックが4.7%、アジア系4.0%で、白人中心社会ではあるが、白人至上主義ではないというのが現地に住んでみた印象だった。実際に、同州では4割近いドイツ系に次いで北欧系が30%以上を占めているせいか、南部各州ほど人種差別が根深いという感じではなかった。 そのミネソタであのような悲劇が起きたのだから、筆者個人的には大きなショックだった。その後、抗議運動は瞬く間に全米主要大都市に波及し、サンフランシスコでは娘夫婦と孫娘が住む市内のアパート前にあるドラッグストアが略奪に遭ったという。今回のパンデミックは米国社会の恥部を劇症化させているようだ。 米国以外で気になったのは香港だ。詳細は今週のJapanTimesに書いたが、法的に見れば、今回の中国政府による国家安全法導入には大いに疑問がある。香港基本法23条は香港に国家安全法の制定を義務付けているが、これまで香港は同法制定を怠ってきた。業を煮やした中国は基本法18条を拡大解釈し香港国家安全法の制定と導入を進めている。しかも、これは1984年中英共同宣言違反でもあるのだ。 先週は米NSC補佐官が「香港に対する特別待遇の廃止」を示唆していたが、案の定トランプ氏は5月29日、中国は「一国二制度」を「一国一制度」に置き換えたと批判し、WHOとの関係断絶や従来香港に認めてきた優遇措置の撤廃など一連の対抗措置をとる旨述べた。どうやら米中ともにルビコンを渡ってしまったらしい。要注意である。

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