アラフィフでも会社に頼らず生きていける「資格」の選び方
「人生挽回」が難しい資格とは
ここまで、おすすめの「地味な資格」を紹介してきました。しかし反対に、取得する意味はあるものの、「人生挽回までねらうのは難しい」という資格もあります。 まずは「セミナーなどを受講するだけで簡単に取れる資格」です。本来、資格は国の法律に基づいて存在します。基づく法律のない民間資格がすべてダメというわけではありませんが、ほとんどの人が合格できる資格はそのぶん取得者も多く、取得してもそれを活かして独立や転職をするのは難しいかもしれません。 次に「独占業務のない資格」です。士業は「無資格者の実施が禁止されている業務を、その資格を持っていることで行える」といった特徴があります。その資格がないとできない「独占業務」があるため重宝されるのです。独占業務のない資格では、本職のさらなる箔付けのために取得するには効果がありますが、よほど人脈が豊富でもないかぎり、その資格だけで独立して生計を立てていくのは難しいでしょう。 最後に「セミナー業が中心の資格」です。「ライセンスビジネス」という言葉があります。これは講師が主催するセミナーなどを受け、修了免許が与えられると、今度は自分が教える側に回ることができる仕組みを取り入れたビジネスのことです。修了免許を得た人は「〇〇協会認定上級コーチ」といった肩書を得て、講師として活動できます。 たしかに、取得後の収入源が約束されているという意味では、メリットがある場合もあります。しかし、中には新興宗教や、重いノルマが課されるネットワークビジネス(いわゆるネズミ講)に近いものもあり、参加は慎重に判断することをおすすめします。また、先行して始めた人に利益が集中する仕組みであることが多いため、後発で参加しても安定した収入を得るのは難しいかもしれません。
活躍できていない人の「敗者復活戦」という意味も
「地味な資格」とはいえ、合格にはそれ相応の勉強は必要です。資格取得後は営業活動も必要で、決して楽な道ではありません。しかし、「学歴・役職・年齢・性別も関係のない、誰にでも平等に開かれた門戸」であるとはいえるでしょう。 また、資格を活かして働くことは、単に「収入を得る手段」になるだけではありません。それ以上に、「人の役に立てている充実感」も与えてくれます。 たとえいま活躍していない人でも、それは自分の才能が発揮されていないだけかもしれません。私も会社員時代の仕事では成果を出せませんでしたが、社労士としてはなんとかやってこれています。自分自身でも経験したからこそいえることですが、資格試験とは、こうした人のための「敗者復活戦」でもあるのです。 ■ 佐藤 敦規(さとう・あつのり) 社会保険労務士。中央大学文学部卒。新卒での就職活動に失敗。印刷業界などを中心に転職を繰り返す。窓際族同然の扱いに嫌気がさし、50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。企業を相手に、就業規則や賃金テーブルの作成、助成金の申請などの相談を受けている。資格取得によって収入が200万アップするとともに、クライアントの役に立っていることを実感し、充実した生活を手に入れた。お金の知識を活かして、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「THE21」などの週刊誌やWebメディアの記事も執筆している。 佐藤氏の著書: 『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』
佐藤 敦規