なぜ森保ジャパンの「攻撃的3バック」は「モダン」なのか? W杯アジア最終予選で問われる6年目の進化と結果
「攻撃的3バック」が促す各ポジションの進化
北朝鮮代表との連戦だった3月シリーズ。ホーム戦で勝利し、アウェイ戦では北朝鮮側の都合で最終的に日本の不戦勝となった段階で、日本は無傷の4連勝で2次予選突破を決めている。 「アジア最終予選の前に2次予選を戦うメリット、デメリットはありますけど、早く突破を決めたときにさまざまなオプションにトライできるのはメリットですよね。もちろん3バックはファーストチョイスではないと思うし、あくまでもチームのオプションを広げる、という意味ではすごくいい感じになっている。これがファーストチョイスならば、改善点はまだまだありますけど」 6月シリーズで導入された3バックを、久保は主戦システム[4-2-3-1]のオプションと位置づけた。そのうえで指揮官が「攻撃的」、堂安が「モダン」と形容した意図を、中東勢のロングボール戦法の前に守備が破綻し、ベスト8で敗退したアジアカップを振り返りながらこう補足した。 「より厚みのある攻撃というか、基本的には守備のときに5バックにはならずに3バックのままで、相手が蹴ってくる場合はディフェンスの選手を信頼して、僕たち中盤から前の選手たちがまずセカンドボールを拾う。ただ、簡単にボールを後ろの選手に返すと、今度は日本がロングボールを蹴らなきゃいけない展開になる。そこで前向きな形で落ち着かせるのが僕たちの役割になる」 キャプテンのボランチ遠藤航も、ウイングバックで起用される選手次第で大きく変わると続いた。 「相手ボールのときに5バック気味になる選手起用になると、もしかすると『もっと前向きにいきたい』と思う選手たちが出てくるかもしれない。今回に関してはウイングバックの選手起用を含めてトライする、という共有がチーム全体でできていたのが非常に大事だったと思っている」 最終ラインの顔ぶれはどうだったのか。シリア戦では真ん中に身長188cm体重80kgの板倉滉、左に190cm84kgの町田浩樹、そして右には187cm84kgの冨安健洋がトリオを組んだ。 高さと強さ、そしてフィード能力を兼ね備えているだけではない。現在進行形の形でセンターバック陣のなかで共有されているポジティブな雰囲気を、町田はこんな言葉で表現している。 「トミ(冨安)がアーセナルで、そしてコウくん(板倉)がブンデスリーガでプレーしている。レベルの高いところでプレーしている選手たちが、高い基準を代表にもってきてくれる」