“4WD車 98%”のスバルだからこその「フォレスター」の魅力とは?
スバルのSUV「フォレスター」の魅力について大谷達也が考えた。 【写真を見る】新型フォレスターを徹底チェック(35枚)
“いい4WD車を作ること”
以前、冬のオーストリアからスイスまでクルマで旅をしたとき、面白いことに気づいた。オーストリアでは様々なブランドのクルマが走っていたのに、スイスに入った途端、アウディとスバルの比率が俄然高まったように思えたのだ。 その理由は、なんとなく想像がつく。アウディもスバルも、どちらかといえば高級なブランドで、4WD作りに長い経験を有している。これは、平均年収が高く、冬の山あいでは雪の降ることが多いスイスにぴったりの要件といえるのではないか。スイスの雪道を走りながら、私はそんな想像を膨らませていた。 「いやいや、いまどきどこの自動車メーカーも4WD車を出しているんだから、4WD車を作ることがとりたてて難しいわけはないでしょう」 アナタはそう思うかもしれない。でも、“4WD車を作ること”と“いい4WD車を作ること”の間には、大きな隔たりがあると私は信じている。 たしかに、ちょっと雪が積もっている程度だったら、“普通の自動車メーカーが作った4WD車”も“4WDが得意な自動車メーカーが作った4WD車”も大した差はない。 しかし、本当に雪深い道を走っているときに立ち往生するかどうかとか、滑り始めてからのコントロール性がどうかという面でいえば、やはり“4WDが得意な自動車メーカーが作った4WD車”のほうが断然優れている。きっと、4WDシステムをどれだけていねいにチューニングしているかとか、車両全体が4WDの性能を生かすレイアウトになっているかという点が、こういう極限的な状況での性能差となってあらわれるのだろう。
考え抜かれたボディ形状
話をアウディとスバルに戻すと、アウディがフルタイム4WDシステムの「クワトロ」を初めて発表したのは1980年のこと。いっぽう、スバルが初の4WDモデルである「FF-1 1300G 4WDバン」を東京モーターショーに発表したのは1971年なので、スバルのほうが9年先行していたことになる。 もっとも、アウディ・クワトロはフルタイム4WD、いっぽうスバルの4WDシステムはもともとパートタイプ式だったから、アウディとスバルの優劣を決めるのは簡単ではないものの、私がスイスで目の当たりにしたとおり、彼らが好敵手であることは間違いないだろう。 そんなスバルにとってSUVの代表選手といえるのが、昨年マイナーチェンジを受けたフォレスターである。 全高の高いSUVボディはフォレスターに220mmの最低地上高をもたらしている。これが険しい岩場やフカフカの新雪を走る際に大きな意味を持つことは間違いない。 さらにいえば、「どれだけアゴをすりにくいか?」を示すアプローチアングル、「どれだけ腹をすりにくいか?」を示すランプブレークオーバーアングル、「どれだけお尻をすりやすいか?」を示すディパーチャーアングルのいずれをとっても、フォレスターは本格SUVに負けない数値を達成している。これも悪路走破性を語るうえで極めて重要なポイントといえる。