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父は「富士山レーダー」技術者 NTTデータ副社長がめざした「世の役に立つ技術」

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NIKKEI STYLE

《連載》キャリアの原点 NTTデータ副社長 藤原遠氏(上)

NTTデータの藤原遠(とおし)副社長は日本の金融機関向け情報システムに長く関わってきた人物だ。障害が発生すると社会的な影響を与えかねない金融機関向けの大規模システムを構築するプロジェクトを率いたことで知られる。技術の力で社会インフラを支えてきたキャリアの根っこには、富士山測候所の気象通信システムを構築した父の存在があったという。 分割前のNTTでは金融機関向けの情報システム構築やネットワーク構築から会社人生をスタートした。その後、米国留学を経て金融システム部門に長く携わり、メガバンク向けや政府系金融機関向けなどの国家インフラ的な金融システム構築のプロジェクトにも参画してきた。 「自分も技術によって世の中の役に立ちたい」――。藤原氏の思いは、大学に進学するころに芽生えたという。

兵庫県で少年時代を送った。まだ森や川の残る新興住宅地で育ったこともあり、「子どものころは昆虫採集などに夢中でした」(藤原氏)。そんな少年に、大手電機メーカーの技術者として関東に単身赴任していて家を不在にしがちだった父親は、一緒にいるとよく付き合ってくれたという。「モーレツ会社員ではなかったと思いますし、勉強をしろとも一切言われませんでした」 昆虫採集のほかにも、畑でトマトやキュウリを一緒にもいで楽しかった思い出もあるが、最もうれしかったのが電子回路づくりを教えてくれたことだという。「電子ブザーとか鉱石ラジオのような簡単なものでしたが、組み立てていくことによって新しい価値を生む装置になるというのは興奮しました」 父の代表的な仕事に、1964年に設置された富士山頂の気象レーダーがあるという。富士山測候所の気象レーダーと気象庁などをつなぐ通信システム構築に携わったのだ。その苦闘の様子は、気象庁で課長として建設プロジェクトを担当していた作家・新田次郎の小説『富士山頂』(文春文庫)に描かれている。後に俳優・石原裕次郎の主演で映画化もされた。 「父が退職したときに部下から贈られた感謝状のような寄せ書きがあって、トラブルが起きると飛んでいってすぐに直していたというエピソードがいくつも書かれていました」

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