「15歳の少年少女に性行為を認めさせなければ…」『金八先生』で描かれた“女子中学生の出産”「命を削って書いた」ドラマ現場で起きていたこと《視聴率39.9%》
〈「もっとオープンな形で性の問題を」山口百恵(当時21歳)は鋭い発言…“女子中学生の妊娠”に驚愕、『金八先生』第1作が広げた波紋〉 から続く 【画像】白いぴったりとしたワンピース&黒髪ロングで可憐に…当時15歳で妊娠→出産する中学生を演じた女優 1979年11月30日、TBS系のテレビドラマ『3年B組金八先生』の第6回が放送された。同回は、「十五歳の母」というサブタイトルのもと前々週から3回にわたって続いた一連のエピソードの一応の完結編であり、杉田かおる(当時15歳)演じる中学生・浅井雪乃が同級生との子どもを妊娠・出産するという展開は、当時大きな反響を呼んだ。その制作背景とは……。(全3回の2回目/ はじめ から読む) ◇◇◇
15歳の俳優に性行為のセリフを…脚本家の苦しい心情
『3年B組金八先生』の脚本家・小山内美江子が、「十五歳の母」のエピソードのモデルとしたのは、その放送の6年ほど前、実際に中学3年で妊娠し、自ら働いて費用をつくると、たった一人で産院で出産したという女性であった。小山内は彼女のことを知り、自身も離婚後、働きながら子育てをしてきただけに色々と考えさせられたという。 《一人前の大人でも、子供を抱えて働くということは大変だが、A子さん[引用者注:小山内による仮名]は、十五歳で母となったばかりに、おそらく好奇な目で見られたことも多かったろうし、ゆえなくして非難されたこともあっただろう。にもかかわらず、子を産んだというのは犯罪ではないのだ》(『小山内美江子の本2』労働旬報社、1980年)といった小山内の思いは、そのまま劇中の雪乃に反映されている。 しかし、「十五歳の母」の執筆は小山内にとって苦しい仕事であったという。当時の心情を彼女はこう吐露している。 《ストーリイ自体は、始めから書くと決めていたので、何の迷いもありませんでしたが、いざ書き出すと、まだ十五歳、おそらく未経験にちがいない少年少女俳優が、ドラマの上とは言え、性行為を認めなければ話は進行しない。にもかかわらず、私は書くべきセリフを探し出せず、ただ脂汗を流すばかり、その子供たちが可哀そうで、親御さんに申訳なく、これ程オロオロしたのは始めてでしょう》(『テレビドラマ代表作選集 1980年版』日本放送作家組合編集・発行、1980年)
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