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ところで、もし私が死んだ時はとても他の新聞では1面は無理だろう。本紙とは長年の付き合いということもあるので、少しは期待していいかな。別に1面に載りたいわけではないので、気にしないでけっこうです【北の富士コラム】

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中日スポーツ

 中止となった大相撲夏場所初日に合わせて、北の富士勝昭さんが本紙の名物コラム「はやわざ御免」の特別編を執筆しました。角界や芸能界のレジェンドとの交友、古き良き大相撲の思い出など、おなじみの北の富士節で、縦横無尽に書きます。千秋楽まで(途中休場はあるかも)、どうぞ楽しんでください。   ◇  ◇  ◇

 本来なら5月24日は夏場所の初日である。しかし、新型コロナウイルスに感染した若手力士が出て、夏場所中止は決定した。そして、その力士は非業の最期を遂げてしまった。春場所も感染者が出た段階で中止と決まっていたので、妥当な判断であったと思われる。  私は先場所も何も起こらない方が奇跡と言ってきたので、中止については別に驚きはしなかったのだが、まさか若手力士が亡くなるとは予想はしていなかった。かわいそうなことをしたとしか言いようがない。  どこかの部屋の力士が感染したと聞いた時も若いから大事はないだろうと、それ程心配もしていなかったのが、正直なところであった。  受け入れ先がなく、たらい回しにされたとか、うわさが錯綜(さくそう)し、詳しいことはいまだに分からないが、最前線で懸命に働いておられる医療関係者に申し訳がなく、これ以上追及することは避けたい。亡くなった人はかえらない。冥福を祈るしかあるまい。しこ名は勝武士(しょうぶし)、三段目、28歳。多くのスポーツ紙が1面で彼の死を報じた。本紙も取り上げていた。  それと若くても体力があっても今度の新型コロナは防げない病気だと認識させてくれた。合掌。  ところで、もし私が死んだ時はとても他の新聞では1面は無理だろう。本紙とは長年の付き合いということもあるので、少しは期待していいかな。別に1面に載りたいわけではないので、気にしないでけっこうです。死んでしまえばおしまいさ。それでも見えを張りたいものよ、人間は。  さて軽口はこの位にして、今後の大相撲は一体どうなるのか心配である。名古屋場所を東京で行うのは決まったようだが、コロナの第2波が来るらしい。もしそうなると、秋場所だって分からなくなる。下手をすれば九州場所にも影響するだろう。例え開催できたとしても、無観客場所となる公算が大きい。これは他のスポーツにも言えることだ。夏の甲子園も中止が決まり、高校球児たちも涙をのんだ。私も元は野球少年だっただけに、同情を禁じ得ない。夢を絶たれた球児に比べ、力士たちはまだ幸せである。運が良ければ再度土俵に上がることができる。例えお客さんが不在でも、相撲が取れるだけでもありがたいと思ってもらいたい。  そのためには、いつまでも感染を恐れて四股と鉄砲ばかりでは、本場所の土俵に立っても良い相撲を取れるはずがない。確かに相撲という競技は体と体をぶつけ組み合ってなんぼの世界である。3密を避けていたら、とても成り立たない。裸の体で激しく当たり合う。つばきや汗も顔にかかるし、時には血すら飛んでくる。寝る時も食事も大勢の若者が共同生活をする。このままで打つ手がない。と言っても始まらない。協会は一丸となってこの難局を乗り切らねばならない。まさかワクチンができるまで稽古もせず、ジーッと待つのか。そんなわけにはいくまい。  今は感染者は出ていないようだから、抗体検査が終わり次第、稽古を再開するべきだろう。聞くところによると稽古はしないで済むし、場所も休みだし、喜んでいる不届き者もいるらしい。実に情けない。人間は一度楽を知ると、すぐにナマクラに成り下がってしまうものらしい。私が良い例で、先場所以来一度もペンを握っていないし、文章も書いていない。だからこのありさまであります。そもそも私は真面目な話が苦手である。2日目からは63年間の経験談などを書き述べてみようと思います。  それから24日の午後3時5分から、NHK総合で夏場所に代わる「大相撲特別場所」が放送されます。初日は昭和62年放送の「大相撲この一年 燃える九重名コンビ」です。懐かしの映像とともに、私も電話で出演します。ぜひ御覧ください。

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