「子どもと向き合う時間が絶対に必要だと思った」――セクシーさを封印して、よきお父ちゃんに 高橋克典の年齢の重ね方
トーク番組のホストは旅のようなもの、俳優は時代の「気分」を作れる仕事
高橋さんには俳優のほかに、司会者の顔がある。BSテレ東のトーク番組「ワタシが日本に住む理由」は、2016年から続く息の長い番組だ。 「ゲストの方が話しやすくなることを心がけています。場を盛り上げるために自分のエピソードを話すこともありますけど、オンエアではほとんど使われていない(笑)。おどけてみたり声色を変えてみたり、楽しい雰囲気にするためにいろいろやります」 「僕は、旅が好きです。芝居の世界にこもっていたら、世の中のいろんなことがわからない。昔はよくバックパックを背負って、知らない土地を旅して歩きました。一度、アメリカの先住民族の暮らしを見てみたいと思って、計画も立てずに行ったんです。ある家を訪ねたらご主人がいなくて、帰りを待つあいだ、お母さんが入れてくれた紅茶をいただきながら、日が暮れていくまで何時間も話し込んだりしていました。そういうのが好きだから、トーク番組でゲストを迎えるのは、楽しいんですよね。ましてや、向こうから来てくれるんですから危険もない(笑)。毎回が一期一会です」 2017年からは、クラシックコンサートのナビゲーターも務める。 「両親ともにクラシック音楽に情熱をもっていたから、僕も当然クラシックをやるんだろうと思っていましたが、僕はクラシックが嫌いだったんです。『クラシックは立派なもの、すばらしいもの』と、どうも、上からの感じがして。音楽は好きだけど、クラシックは好きじゃなかった」 ところが、音楽番組「ららら♪クラシック」の司会に抜擢されていろいろ知ると、クラシックへの見方ががらりと変わった。 「ベートーベンがものすごい酒飲みだとか、ある作曲家は女好きで、自分の彼女のために曲を作ったとかね。クラシックの作曲家の人間性やエピソードを知ったとき、急に、その音楽、その曲に込められた想いや情景を感じとることができるようになったんです。完璧に構築された天の音楽ではなく、リアルに生きた人が作ったものなんだって思った途端にね」