“有害物質”出すがれき…避難場所のそばに トルコ地震から3か月 政府の対応に怒り強まる
日テレNEWS
今年2月の大地震で甚大な被害を受けたトルコ南部ハタイ県で、がれきの処理をめぐり問題が起きています。有害物質を出す建材が、避難者が住む場所の近くなどに一緒に投棄されているのです。さらに、被災地での救助の遅れなど政府の対応に不満をもつ人は多く、エルドアン大統領への人々の怒りが強まっています。 ◇ トルコ南部のハタイ県は、今年2月の大地震で甚大な被害を受けた場所です。地震から3か月たった今も、壊れた建物がそのままになっています。 地震によって建物が崩れ、発生したがれきの山…。今、トルコではこのがれきの処理をめぐり、ある問題が起きているといいます。調査している弁護士のエジェビットさんに案内してもらいました。 不法投棄の調査を行うエジェビット弁護士 「道のあんな遠いところからここまでがれきが投棄されました。今も投棄され続けています」 がれきが辺り一面に積まれていました。(トルコの)法律により、アスベストなどの有害物質を出す建材は分別され、住宅地から離れた場所に保管されなければいけませんが、すべて一緒に捨てられています。 テント生活を続ける避難者のすぐそばでも、有害物質を含むおそれのあるがれきの処理が行われていました。 避難者 「(政府は)がれきを別のところに持っていくと言っていますが、(がれきは)増えていくばかりです。がれきの山の毒のせいで死んでしまうかもしれません」 エジェビット弁護士らが調査したところによると、こうしたずさんながれきの処理は、ハタイ県だけで18か所も見つかりました。 地元の医師は、住民への健康被害に警鐘を鳴らしています。 地元医師 「すでに『目の充血』『アレルギー』『呼吸困難』などを訴えている人がいます。今後『がんの原因』にもなり得ます」 今年4月には、「がれきをなんとかしろ! 生活を守れ!」と住民による抗議活動も行われていますが、政府は「がれきの処理は適切に行われている」として、処理を急ぐ方針です。 ◇ 政府の対応に不満をもっている人は、ほかにもいました。ハタイ県出身のヤームルさんです。 トルコ・ハタイ県出身のヤームルさん 「(がれきの中から拾い上げ)これは姉の使っていた化粧ポーチです」 姉のエスラさん一家6人が、地震で倒壊した建物の下敷きになり亡くなりました。地震発生直後には、崩れた建物の中から助けを求める声も聞こえていたといいますが―― トルコ・ハタイ県出身のヤームルさん 「地震から4日目に救助隊がやってきました。それまで誰も来てくれませんでした。救助隊が来るのが早かったら(家族は)助かっていたかもしれません」 ヤームルさんだけでなく、多くの被災地で救助の遅れを指摘する声が上がり、政府への不満が大きなうねりになっています。こうした状況に、強権的な政治を長年続けてきたエルドアン大統領も、「インフラが破壊されたことなどから、(地震発生から)最初の数日、被災地で救助や支援活動が展開できなかった。被災地の人々に赦(ゆる)しを請いたい」と述べました。 トルコ・ハタイ県出身のヤームルさん 「彼(エルドアン大統領)の言動には怒りしかありません。野党統一候補に投票します。20年間、何もしていない政府には期待できません」 被災地の怒りの声が政権交代につながるのか。20年続いたエルドアン政権への審判は、14日に投開票を迎えます。