後輩の渋野日向子と同じステージへ 逢澤菜央は大学中退してツアープロに挑戦
新型コロナウイルスのため延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度プロテストは今年3月、1次が5会場でスタートする。未曽有の事態の中、多くの選手が「合格率3.3%」ともされる狭き門に挑む。彼女たちは何を思い、クラブを握ってきたのか? その素顔に迫る。 【画像】後輩は渋野日向子
■1学年後輩の渋野日向子にゴルフ部主将引き継ぐ
岡山県作陽高で渋野日向子の1学年先輩だった22歳の逢澤菜央は、進学した同志社大を昨年3月に中退した。理由は、同じ関西出身の松田鈴英らツアーで活躍する同学年プロの存在だった。大学卒業後からテストを受けるつもりでいたが、「自分が置いていかれている気がして…」。周囲には「もったいない」と言われた。 2年の後期から休学し、2018年に1回目のテストに挑んだ。1次、2次を通過し、最終テストの練習ラウンドは渋野と回った。だが、第3日に想定外のことが起きた。「熱中症です。何とか最後まで回りましたが、どうプレーしたかも覚えていないです。結局、1打足りずに最終日に進めませんでした」 ゴルフ好きの父親の影響を受け、8歳でクラブを握った。「(宮里)藍さんのように高校から寮生活をしたい」と、地元京都を離れて岡山県作陽高に入学した。3年では主将を任されたが、ドライバーの不調でレギュラーには入れなかった。「3年の時に全国大会で優勝しても複雑でした…。日向子ちゃんはどんどん成長していましたね。大会後、彼女に主将を引き継ぎました」 当時は渋野の相談相手で、今でも連絡を取り合っている。だが、18年最終テストの合否を境に、2人の歩みには大きな差がついた。「『どうしてそんなに上に行っちゃうの~』って感じです。でも、彼女はそのままのいい子なので、私も“素”で応援できています」。早く同じステージへ。その思いで練習を重ねていたが、19年のテストは2次を通過できなかった。ドライバーのグリップ調整に失敗し、スイングを崩した。そして、20年のテストはコロナ禍で延期に。「ショックでしたが、中止ではなく延期だったので、『頑張ろう』と思えました」