「子どもの近視は遺伝する」というのは本当なのか?わが子の目や体にとって本当によい環境とは
窪田:日本では、「身体を動かす」イコール「スポーツ」となりがちですよね。習い事や部活でいきなりスポーツ要素が強い動きが多くなるので、身体を動かすのが苦手な子にはハードルが高いと思います。ヨガなら、どんな子でもチャレンジできそうです。 ボーク:そうですね。アメリカで娘を育てて実感したのは、小さいときにきちんと自分の身体と心に向き合うベースを作る教育がなされているということです。 窪田:ボークさんが子育てにおいて大切とされている非認知能力を育める仕組みがあるということですね。
ボーク:はい。非認知能力とは点数や偏差値のように数値化されない能力を指します。自分を大切にする「自己肯定感」、失敗を恐れずに挑戦する「自己効力感」、やりたいことを見つけて打ち込む「主体性」、思いやりといった「共感力」などの目に見えない能力の総称です。 窪田:日本でも2020年から始まった新学習指導要領により、非認知能力を育成していくことが求められるようになりました。 実は、近視対策先進国ともいえる中国でも、公教育において似たような動きがありました。中国政府は、2018年に近視削減のための国家計画を策定し、2030年には高校生までの近視発症割合を70%以下にすることを目標に掲げています。
■近視対策先進国・中国での公教育変化 近視抑制に効果的な1日2時間の屋外時間を毎日確保できるよう、中国ではまず2019年に国がオンラインゲームを規制しました。さらに2021年には小学校1~2年生の宿題を禁止、学習塾も廃止するという驚くべきスピードで進めています。すでに台湾の小学校では近視抑制の効果が表れ始めました。 ボーク:学力面への影響もあるのでしょうか。 窪田:学力面への影響が統計に表れてくるのはまだ先でしょうが、香港ではPISA(OECD生徒の学習到達度調査)ランキングが落ちなかったといわれています。