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『攻殻機動隊 SAC_2045』コンセプトシングル&Wタイアップシングルを同時リリース!Miliインタビュー

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エムオンプレス

カナダ人ボーカリストのCassie Wei、コンポーザーのYamato Kasai(Guitar)を中心に、Yukihito Mitomo(Bass)、Shoto Yoshida(Drums)、そしてイラストレーターのAo Fujimoriという構成で、ジャンルに捉われることのない世界基準の作品をクリエイトする音楽集団・Mili。近年はアニメ音楽の世界でも存在感を強めている彼らが、話題のタイアップ曲を収めた2枚のシングルを同時リリースする。 【動画】Mili singles 1枚は日本が世界に誇る人気シリーズの最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』のEDテーマ「sustain++;」を含む、『攻殻』からインスピレーションを得たコンセプチュアルなシングル「Intrauterine Education」。もう1枚は、TVアニメ『グレイプニル』のEDテーマと、映画『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』のテーマソングを収録した「雨と体液と匂い / Static」。未来的なエレクトロニカサウンドから、ピアノや弦を中心としたクラシカルな楽曲まで、Miliらしいミクスチャー感で各アニメ作品に寄り添った本作について、現在は長野を拠点に活動しているCassie WeiとYamato Kasaiに、ネットを通じて取材を試みた。 ――今回はリモート取材になりますが、お二人はコロナ以降、生活や活動にどのような変化がありますか? Yamato Kasai 生活に関しては、僕もCassieも元々わりと引きこもりの部類に入る人間なので、いつもとあまり変わらない感じですね(笑)。クリエイティブの話で言うと、コロナの影響で人を集めてレコーディングができないので、みんなで宅録して作品作りを完結させることをしました。 ――こないだ配信リリースされた新曲「String Theocracy」は、リモート環境ですべての制作を行ったそうですね。 Kasai あの曲は全部遠隔で作りました。今回、初めてアレンジャーの方(鎌田瑞輝)に入ってもらったんですけど、ディレクションも基本は奏者さんとアレンジャーの方にお任せで、音源を聴いて問題がなければそれで進めていきました。初めて一緒にお仕事する方もいたので、その人たちに直接ご挨拶できなかった寂しさはありますけど、作品作りにおいては合格点のものが出来たんじゃないかなと。 ――トランペットやサックスなどの管楽器を入れたジャジーな曲調で、生楽器中心のアレンジにも関わらず、リモート制作でこんなにもクオリティの高い作品ができるんだと感心してしまいました。 Kasai Miliの活動自体が元々現場主義じゃないところから始まっているので。そもそもいちばん最初の頃はCassieがカナダに住んでいたので、日本とかでレコーディングを行っていたわけではなくて、僕やメンバーとデータのやり取りをしながら制作していたんです。最初からそういう作り方をしていたので、今回も、いつもよりちょっと極端なリモートワークっていう感覚でやっていましたね。改めて意識すると「そういえば、今回、誰とも顔を合わせていないな……」とは思いましたけど(笑)。 ――今回はシングルを2作品同時リリースされますが、まずは「Intrauterine Education」についてお話を聞いていきます。本作の収録曲「sustain++;」は、Netflixオリジナルアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』のEDテーマですが、お二人は『攻殻機動隊』という作品をご存知でしたか? Kasai それはもう。押井守監督の手掛けた最初の映像作品(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』)から入って、TVシリーズも追いかけていたので、お話をいただいたときはびっくりしました。『攻殻機動隊』シリーズや『AKIRA』もそうですが、当時のジャパニメーションと言われた日本のSFアニメ周辺の作品は、音楽も含めて独特の空気感があるじゃないですか。大人っぽいし、不思議な印象があって。僕はその世代の人間ではないので、10代になってからそういう作品があることを初めて知って、「えっ!昔にこんなアニメがあったんだ!?」という衝撃を受けて。そこからいろいろ掘り下げて観るようになりましたし、その当時の日本のアニメのすごさを感じる作品として、とても心に残っていますね。 Cassie Wei 私も元々オタクですけど、世代的には自分の上の世代で流行っていたアニメだったので、私も入りはちょっと遅くて、はじめはTVアニメの最初のシリーズ(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』)から入ったんです。最初に観て思ったのは、すごいテンポ感ということで。あんなにたくさんの内容を20分ちょっとの枠にギュッと入れられることがすごいし、濃度が今のアニメとは違うなあと思って。 Kasai そうだね、1話の濃密さはハンパなかった。一瞬でも見逃すと展開がわからなくなるし。 Cassie そう。それにどのシーンにも意味があって、作画が美しいですね。だから一気に観ましたし、日本のアニメの中でのレジェンドのひとつだと思います。 Kasai 大ファンだったので、最初に当時所属していた事務所から「もしかしたら(EDテーマのアーティストに)決まるかもしれない」ということをお伺いしたときも、あまり期待しないように受け止めていましたね。浮足立ってしまうのがいちばんよくないので。楽曲を制作している段階でも、内心はめちゃくちゃうれしいんですけど、ちょっと抑制して、なるべくフラットに捉えるようにしていました(笑)。 ――「sustain++;」はどのような流れで制作を進めたのでしょうか。例えばアニメ制作サイドから何かリクエストはあった? Kasai それは特になくて、僕らが考える“『攻殻機動隊』のEDテーマ”というところから制作を始めました。もちろん新作の内容をお伺いしてから制作を進めたのですが、僕らは今までの『攻殻機動隊』の劇伴音楽やテーマソングのことも知っていますし、『攻殻機動隊』は僕らを含めてたくさんのコアなファンが待っている作品でもあるので、Miliらしさを詰めていく重要さも半分意識しつつ、『攻殻機動隊』の世界観を崩さないものを僕ららしい形で表現できればと思いました。 ――たしかにエレクトロニクスと生楽器の融合した音作りは、これまでの『攻殻』サウンドの流れを汲みつつ、Miliらしいミクスチャー感覚もある印象を受けました。 Kasai 特にイントロの音は、これを聴いた人が「あっ、これは『攻殻機動隊』だ」って感じてくれればいいなと思って。そういう印象付けはしたかったです。 ――曲名の「sustain++;」は、アニメ本編に登場する重要なキーワード「サスティナブル・ウォー(計画的かつ持続可能な戦争)」に絡めたものなのでしょうか? Cassie そうですね。最初にいただいた資料に「サスティナブル・ウォー」という単語が出てきて。ちょうど英語圏では「サスティナビリティ(持続可能性)」という言葉がバズワードになっていて、環境問題だとか、人間の生産活動が持続可能なのか?という意味で話題になっていたので、これは面白いから使おうと、最初から決めていたんです。 ――なるほど。 Cassie で、そこから何の持続可能性について歌詞を書こうか考えたときに、『サウスパーク』を観ていたら、カップルはコミュニケーションが大事、というような話が出てきて。そこで「人間関係についての持続可能性」の歌詞を書こうと思ったんです。そして、私は元々プログラマーだったので、今までのMiliの曲にもプログラムコードで歌詞を書いた曲があるんですけど、そのやり方が『攻殻機動隊』の世界にすごく合うと思ったので、今回もコードで書きたい!と思ったら、このタイトルが先に決まりました。 ――このタイトルについている記号(++;)はインクリメントと言って、プログラミング用語で「変数の値に1を加える」処理を指す単語らしいですね。タイトルにはどのような意味を込めたのですか? Cassie これは簡単に言うと「サステインを一つ増やす」ということで、持続可能性がワンユニット上がるという感じですね。単純に数字が高くなる。プログラミングコードも一つの言語なので、英語の歌詞に和訳がつくように、プログラム言語で書くことによって翻訳がひとつ増えるっていう。で、やっぱり言語によって文化が違うので、同じものを少し違う目線で見られるようになるんです。このタイトルもプログラミングを知っている人が見ると、また違う解釈の仕方があると思うので、そこが面白いかなと。 ――『攻殻機動隊』のテーマ性を意識して書いた部分はありますか? Cassie そこは歌詞の内容というよりも、歌い方で表現しました。例えばAメロやBメロのちょっと無機質な感じとかもそうですし、TVサイズ以降の部分でちょっと可愛く歌っているのは、タチコマをイメージしたところもあって。歌詞に同じフレーズの繰り返しがあるところも、アンドロイドっぽさをイメージして書きました。 ――2番の後半部分ですよね。あのパートはサウンド的にも昔のエレクトロっぽい音に変化して、印象に残ります。 Kasai あの部分はかなり意識して作りました。最初のワンコーラスを終えたところから色を変えたくて、結果的に選んだ音がレトロなテクノ感というもので。前半のモダンな音に比べて、音楽のジャンルの年代が急に昔になる感覚があると思うんですけど、そこはエンジニアさんにも説明して、あえてレトロな質感にしてもらったんです。最近は音楽や映画でも、全体的に70年代や80年代の雰囲気を醸し出しながら現代を舞台にしていたり、当時の描写や時代背景を引用して新しいものを作る作品が増えているし、『攻殻機動隊』は原作から考えると歴史の長い作品でもあるので、音楽的にも聴く人が聴けば懐かしいと思えるようなサウンドを入れ込みたいなと。そこになおかつ曲の最初や最後のパートにモダンな要素を入れて、現代的な作品にしたいという気持ちがありました。 ――そこは温故知新というか、作品に対する敬意を感じますね。 Kasai 僕は昔からジャパニメーションと呼ばれるものに対しては敬意しかなくて(笑)。それこそ大昔に受けたインタビューでも『AKIRA』みたいな作品が大好きということを公言してきたので、ああいった世界観を音にできればと思っていたんですよね。今回の曲は6分という尺になりましたけど、ああいう形にまとめることができて良かったです。 ――その「sustain++;」を収録したシングル「Intrauterine Education」には、その他にもカップリング2曲が収められていますが、こちらも『攻殻機動隊』をイメージして作られたのですか? Kasai そうですね。この3曲は、いちばん最初にEDテーマを作ることになったときに、何曲か候補のデモ出しをしたくて書いた曲なんです。結果「sustain++;」がEDテーマになったんですけど、それをシングル化するにあたって、ほかの2曲もデモからフルにしました。 ――「Intrauterine Education」は直訳すると「胎内教育」という意味になりますが、このタイトルの由来は? Cassie この3曲で一つのプロパガンダというか、私が『攻殻機動隊』を観て感じたものをそのまま歌詞に入れていて、ある種の教育になっていると思ったので、このタイトルにしました。「人を教育する」という言い方はちょっと偉そうになりますけど、結果的にそういう曲ばかりになったので。 ――シングルの2曲目「Petrolea」はミニマルなエレクトロニカっぽい作風ですが、この曲はどんなイメージで作られたのでしょうか。 Kasai この曲は「sustain++;」に比べると穏やかでミドルテンポな楽曲ですが、それはもし「sustain++;」よりもEDテーマっぽいものがいいと言われた場合は、どういう形になるのかという発想からサウンド作りを始めたからなんです。だからしっとりしていて、フラットな感覚のある曲になっていて。それと「sustain++;」は生楽器やシンセサイザーの音が混ざっているんですけど、こちらの曲はシンセしか使っていないんです。デジタルシンセだけでなくアナログシンセも多用したんですけど、最初からシンセだけで完結させようと思って作ったもので、言い方は悪いですけど、受けとかは狙わずに、自分の好きなように作った曲なので、個人的には大好きですけど、たぶん人気にはならないと思います(笑)。 ――でも、アンビエントやドローンに通じる音響系のサウンドが、『攻殻機動隊』の世界観にも合いそうです。 Kasai 一応4つ打ちが軽く入っているので、アンビエントテクノと言えばいいんですかね。この曲、聴くとわかると思うんですけど、ずっと同じコード進行で、歌のメロディ以外は同じことを延々と繰り返しているんですよ。そのなかで本当にちょっとした微妙な差をつけていて、でも抑揚があるかと言われたら、よくわからない楽曲になっていて。「これから音楽を聴くぞ!」という感じではなく、部屋のコンポで流しながら聴くのがちょうどいい感じだと思います。 ――歌詞はどのようなテーマで書かれたのですか? Cassie この曲で伝えたいのは、現代のLGBTQに対する偏見についてです。(草薙)素子はどちらかと言うと(セクシュアリティ・性的指向が)曖昧じゃないですか。アニメのなかでも、女の子と関係がありそうなシーンがよく出てくるので、そこからインスピレーションを受けました。 ――素子は原作コミックでもバイセクシャル的な描写が多いですものね。 Cassie 素子が女の子のことを好きなのは自由じゃないですか。それに対して、周りの人の見方が普通で、反応が特にないことがよいなあと思って。そういうふうに自然と受け入れてくれている状態が、目指すべき未来じゃないかと思うので、そういう未来が来ればいいなあと思って歌詞を書きました。 ――自分はこの曲の歌詞から、境界を意識せず取り払うようなメッセージ性を感じたので、今のお話でいろいろ納得しました。ちなみに「Petrolea」というのタイトルは、人の名前か何かですか? Cassie これは造語で、「Petro=石油」という言葉を女の子の名前っぽくアレンジして「Petrolea」にしました。なぜ「石油」かと言うと、石油は光を当てると虹色に光るじゃないですか。虹色というのはLGBTQを象徴する色なので(注:レインボーカラーはLGBTQの社会運動を象徴するカラーとして知られる)。しかも、昔のTVアニメのなかで、バトーがタチコマにオイルを与えて、それを摂取したタチコマたちが人間らしくなる、というエピソードがあったので、私はそのオイルが人間になるために必要なものだと捉えて。この「Petrolea」という曲の内容を受け入れることも、人間が人間であるために大事なことじゃないかと思うんです。 ――そこまで深い意味が込められていたとは、驚きました……。そしてもう1曲、「War of Shame」は、他の2曲とは趣きを変えて、伴奏はピアノのみの楽曲になります。 Kasai ほかの曲とは別のカラーのもので、なおかつ、Miliが従来やってきた形の一つとして、ピアノとボーカルという構成の楽曲を入れたいと思って。「Petrolea」はオールシンセの曲だったので、こちらはピアノだけでいきました。クラシカルな印象を受けると思いますけど、『攻殻機動隊』にはミスマッチに感じるかもしれないこの曲調がどう受け止められるかを知りたい部分もありました。 ――曲名は直訳すると「恥の戦争」となります。 Cassie 「恥を受ける人」と「恥を与える人」の戦争をイメージしています。この曲で伝えたいメッセージは「両性平等」なんです。私は別にどういう身体でも人間の中身はそんなに変わらないと思っていて。今、日本でもトランスジェンダーについてじわじわと話題になっているじゃないですか。明らかに自分の性別がわかる人がいれば、自分の性別が男と女の間のどこかにあるという人もいるし、心理的な性別と物理的な性別がマッチングしていないときもあったり。そういうときに、恥ずかしいと思わず、堂々と生きていける世界がいいなあと思って書きました。自分のすべてを気にせず見せられるのは、素晴らしい世界だと思うので。 ――たしかに歌詞からは、見た目による差、ひいては差別意識なようなものからの解放を説くようなイメージを受けました。 Cassie それらはすべて、私が『攻殻機動隊』から感じるイメージを曲にしたんです。例えば素子もずっと堂々と生きていますし、自分を見せることに恥を感じていないように思うので。セクシーな恰好でも「私はこんなに露出していいのかな?」って言う感じはいっさいしないですよね。その感じがいいなあと思って。 ――もう1枚のシングル「雨と体液と匂い / Static」についてもお聞かせください。まず「雨と体液と匂い」はTVアニメ『グレイプニル』のEDテーマですが、どのような経緯でお話をいただいたのですか? Kasai 僕は元々原作のマンガのファンで、原作者の武田すん先生ともSNS上でちょっとした交流があったんですけど、そことは全然違う流れから「今度こういうアニメのEDの話があるんだけど」とお話がきたので、「えっ? 『グレイプニル』ですか?」って聞いてしまうぐらいビックリして(笑)。最初は武田先生が推してくれたのかなと思ったんですけど、先生に連絡してみたら本当にたまたまだったみたいで、二人で驚いた印象が強かったです。 ――原作ファンということは、EDテーマの曲想も膨らませやすかったのでは? Kasai そうですね。漠然としたイメージはすぐに浮かびました。『グレイプニル』は学生たちが放課後や夏休みに摩訶不思議なことに巻き込まれていくシチュエーションなので、リアルな生活とファンタジー要素が混ざり合う感覚、夏の印象、(青木)紅愛と(加賀谷)修一の性格、周りの人間関係のドロドロした感じとかを総合して考えると、あまり爽快な印象は受けない作品になるだろうなと。だから音としても、薄暗さとかほの暗さ、ちょっと怪しい雰囲気が漂っていて、ねっとりしたものにしたかったんです。なので、楽曲から湿度が70~80%ぐらいの部屋みたいな雰囲気、ジメッとした感じが伝わることを意識して作りました。 ――ピアノとシンセなどの電子音が混ざり合ってミステリアスなムードを感じました。 Kasai 夏に入りかけの梅雨の薄暗い夕暮れ時みたいな、漠然としたシチュエーションと景色が頭に浮かんでいたので、それを意識して。歌詞も文学的なものを感じさせる内容で、紅愛と修一の関係性を描けたらと思いましたね。 ――ちょっと官能的な詞世界ですよね。 Kasai あれは完全に、いわゆる情事の話なので。けれども、ただの情事ではなくて、そこにいろいろ複雑な心境だったり、不安定さみたいなものを入れ込めたらと思っていたので、サウンドも含めてああいう感じに仕上がりました。 ――「不安定」と聞いて思い出しましたが、この曲はEDアニメで流れるバージョンの曲構成がちょっと変わっていますよね。まず頭サビで始まって、そこからAメロ、Bメロと続いたかと思うと、そのままサビには行かずに終わりを迎える。そのどこか不安定な感じが、逆に新鮮だしインパクトがあって。 Kasai たしかに普通のアニメの曲ではあまり聴かないタイプの構成だと思います。最初に提出したときも「これいいのかな?」と思いながらも、じゃあ曲の構成を無理やり変えようとは思わなかったので。曲がいちばん綺麗な形で終わるのがベストだと思って、あの形にしました。それに正直、この曲はサビ始まりと言っても、あまりサビのパンチはないようにしたんですよね。雰囲気重視の曲でもあるので、サビにパンチがありすぎると全体の雰囲気が壊れてしまうじゃないですか。その辺の塩梅は難しいですけど、うまく作りたいなあと思って。 ――Cassieさんはこの曲を歌ううえで、どんなことを意識しましたか? Cassie 曲からエロさを感じたので、昔の日本のホラー映画に出てくるちょっとエロイお化けみたいなものを意識しています(笑)。幽霊の美しさみたいなものを表現できればと思って。それとやっぱり不安定な感じは出したくて、元々の曲のキーはもう少し低めだったんですけど、それをわざと上げました。なので、ずっとピッチが上にある状態の歌と、すごく低いところが出てきて、それが不安定さに繋がっていると思います。 ――もう1曲の「Static」は、映画『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-』のテーマソング。MiliはTVアニメ版の『ゴブリンスレイヤー』で、OPテーマ「Rightfully」をはじめPV曲や挿入歌を担当されていましたが、今回の新曲では作品のどんな作面を表現しようと思って作られたのですか? Kasai 『ゴブリンスレイヤー』という物語全体がどんな流れの話なのか、そしてゴブリンスレイヤー自体がどういう人間なのかも踏まえつつ、今回の劇場版の舞台である雪山での冒険に関してのこと、そして今回は映画の最後のクレジットシーンで流れる曲でもあることを考えると、どんな曲にするべきかはすぐに頭に浮かんできました。監督からは最終の絵コンテをいただいたうえで制作に入ったのですが、この曲は雪山で雪が降りだすシーンからクレジットに切り替わると同時に流れることになっていたので、まず静かに始まる曲にしたいと思ったんです。最初は優しいピアノから始まり、静かに進んでいくけど、ストリングスが入ってくると一気にバンと広がるような作り。最初は雪山の情景を演出しつつ、大団円的な総まとめに繋がるような、壮大な楽曲に仕上げていきました。なのでこの曲も、いわゆるABサビみたいなものがはっきりしない、クラシカルでプログレッシブな作りなのですが、僕は物語を語るにおいてはABサビの構成だけでは物足りないと思っていて。それこそ今作に登場する令嬢剣士にも心の変化があるので、そういった表情の変化をピアノと弦で付けていきました。 ――TVアニメの89秒尺ではない、劇場作品のテーマ曲だからこその尺感で取り組んだ曲になっていると。曲名は「Static(=静電気)」となっていますが、歌詞のイメージは? Cassie タイトルの「静電気」ですが、新キャラクターの令嬢剣士が雷の魔法を使うんです。それに令嬢剣士はゴブリンスレイヤーたちと一緒に冒険に出て、たくさんのものを得るんですね。その得たものは、彼女のなかで静電気のように残って、その後、みんな別の道を行くけど、もらったものはずっと心の中にある。そういう意味を込めて「静電気」にしました。作品自体はダークな雰囲気が強いですけど、私からしたらこの作品はたぶん、人間の努力と希望を持つところを賛美しているんじゃないかと思っていて。今までの『ゴブリンスレイヤー』の曲もそうですけど、希望の部分をみんなにすごく見せたくて歌詞を書きました。 ――この曲で個人的に感じたのは、フランス語みたいなパートが混ざっていることなのですが。 Cassie あっ、それは架空言語です(笑)。でも、実際にある言葉をちょっとアレンジして混ぜたり、発音をフランス語っぽくしていて、できるだけリアルにありそうな言語を作りました。この作品はファンタジーの世界なので、歌詞がずっと英語だと、ファンタジー世界の不思議な部分をうまく伝えられないんじゃないかと思って。それと英語で希望の言葉を使いすぎると、実際にある宗教の曲に似てくることがあるんですね。なのでそういう部分のコーラスは架空言語のほうが雰囲気を伝えやすいと思います。 ――今回のシングルは2作品とも非常に濃密な内容になりましたが、Miliにとってどんな作品になりましたか? Kasai 全く別のベクトルで作られた曲が同じ円盤に入っていたりするので、この2枚でMiliのいろんな色が見えるんじゃないかと思います。別にそういう意図があったわけではないんですけど、作品の色がそれぞれ違うように、それに寄り添って曲を作っていったら、音楽もいろんな色のものになって。アニメの曲を作るときは、当然、そのアニメのために曲を書くので、その話がなかったら、そもそもその曲を書こうとは思わないわけじゃないですか。だから僕らも作品サイドから求められて、意外な曲を作ることができたりしますし、作品に寄り添うことで、自分たちが普段作ってこなかった一面というのは出てきますね。 ――Miliはこれまでにも様々なアニメ作品のために楽曲を制作していますが、例えば今後どんな作品の曲を作ってみたいですか? Kasai そもそもアニメ化できる内容なのかという問題はありますけど、僕は『ファイアパンチ』というマンガの世界観がめちゃくちゃ大好きなんですよ。今ジャンプで連載している『チェンソーマン』の作者の方(藤本タツキ)が、その前に連載していた作品なんですけど、「どんな脳みそで考えたら、こんなシナリオを思いついて、こんな表現になんるんだろう?」っていうぐらいぶっ飛んでるんですよ(笑)。『チェンソーマン』も結構ぶっ飛んでますけど、僕が見るに、あれは週刊少年ジャンプ向けに抑制されていると思うぐらいで(笑)。僕はちょっと気が狂ったような作品が好きなんですよ。なので、もし映像化されることがあれば、ぜひやりたいですね。 Cassie 私は何だろう?でも、私の趣味とMiliの音楽は合わないんじゃないかな。好きなもので言うと『サウスパーク』とか、下品でめちゃ笑えるようなやつがいいですけどね。ダークなコメディが好きなので。 Kasai 品のかけらもないようなやつね(笑)。 Cassie そうそう。だからMiliとは合わないかもしれないけど、もし話がきたら絶対に喜んでやります。もう靴まで舐めますよ(笑)。 INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!) ●リリース情報 攻殻機動隊 SAC_2045 コンセプトシングル 「Intrauterine Education」 6月10日発売 品番:VTCL-35322 価格:¥1,300+税 <CD> 01. sustain++;(『攻殻機動隊 SAC_2045』EDテーマ) 作詞:Cassie Wei 作曲:Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲:Yamato Kasai, Yukihito Mitomo, Shoto Yoshida 02. Petrolea 作詞: Cassie Wei 作曲: Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲: Yamato Kasai 03. War of Shame 作詞: Cassie Wei 作曲: Yamato Kasai, Cassie Wei 編曲: Yamato Kasai 04. sustain++; (instrumental) 05. Petrolea (instrumental) 06. War of Shame(instrumental) TVアニメ『グレイプニル』EDテーマ&『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROEN-』テーマソング 「雨と体液と匂い / Static」 6月10日発売   品番:VTCL-35321 価格:¥1,300+税 <CD> 01.雨と体液と匂い (TVアニメ『グレイプニル』EDテーマ) 作詞・作曲・編曲:Yamato Kasai 02.Static(『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROEN-』テーマソング) 作詞:Cassie Wei 作曲:Yamato Kasai、Cassie Wei 編曲:Yamato Kasai 03.雨と体液と匂い (instrumental) 04.Static (instrumental) ジャケットはスリーブケースによる表面/『グレイプニル』、裏面/「ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROWN-」の豪華ダブルジャケット仕様。 「Intrauterine Education」店舗オリジナル特典 ・タワーレコード/タワーレコードオンライン:草薙素子オリジナルステッカー(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・TSUTAYA RECORDS(※一部店舗を除く)/TSUTAYAオンライン:ジャケットステッカー(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・セブンネットショッピング:ジャケット缶バッジ(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・メロンブックス(一部店舗除く):ジャケットイラストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・とらのあな全店舗(一部店舗除く)/通信販売:バトーオリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・アニメイト全国各店/アニメイトオンラインショップ:草薙素子オリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・Amaozon.co.jp:リバーシブルメガジャケ(表=ジャケットイラスト/裏=草薙素子  イラスト:イリヤ・クブシノブ) ・ネオ・ウィング:トグサオリジナルポストカード(イラスト:イリヤ・クブシノブ) 「雨と体液と匂い/Static」店舗オリジナル特典 ・タワーレコード/タワーレコードオンライン:「雨と体液と匂い」 ジャケットステッカー ・TSUTAYA RECORDS(※一部店舗を除く)/TSUTAYAオンライン:「Static」ジャケットステッカー ・セブンネットショッピング:女神官(ゴブリンスレイヤー)オリジナル缶バッジ ・楽天ブックス:「Static」ジャケットポストカード(イラスト:Airi Pan) ・メロンブックス(一部店舗除く):「グレイプニル」場面写イラストカード(絵柄B) ・とらのあな全店舗(一部店舗除く)/通信販売:「ゴブリンスレイヤー -GOBLIN’S CROWN-」場面写ポストカード ・アニメイト全国各店/アニメイトオンラインショップ:「グレイプニル」場面写ポストカード(絵柄A) ・Amazon.co.jp:リバーシブルメガジャケ(表=「雨と体液と匂い」/裏=「 Static」) ・ネオ・ウィング:「グレイプニル」場面写ポストカード(絵柄C) 2枚同時購入特典:「Yaegaki」収録CD(G20大阪サミット プログラム「KABUKI 2019」提供楽曲)]も決定している。確実に手に入れたい方は早めに予約を。 対象店舗 ・アニメイト ・ゲーマーズ ・タワーレコード ・HMV ・TSUTAYA ・とらのあな 一部取扱いのない店舗もありますので、ご予約の際は各店舗にご確認ください。 ●配信情報 「sustain++;(ending ver.)(『攻殻機動隊 SAC_2045』EDテーマ~) 音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信中! 詳細はこちら 「雨と体液と匂い(ending ver.)」 音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサイトにて配信中! 詳細はこちら 「Intrauterine Education」、「雨と体液と匂い/Static」 6月10日より、音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサイトにて配信スタート! ※対応ストリーミングサービス:Amazon Music Unlimited/HD、Apple Music、AWA、Google Play Music、KKBOX、LINE MUSIC、mora qualitus、RecMusic、Rakuten Music、Spotify、YouTube Music、ANiUTa <Mili(ミリー)PROFILE> クラシカルなサウンドを土台に、幅広い作曲を手掛けるコンポーザーYamato Kasai (Gt) 天使の歌声を持ち、トリリンガル(3ヶ国語)で作詞も担当するカナダ人ボーカリストCassie Wei (Vo)、高度なテクニックでMiliの音楽を支える実力派プレイヤーYukihito Mitomo (Ba)、Shoto Yoshida (Dr)、Mili の世界観を視覚的に表現するクリエイターAo Fujimori (Illustrator, Animator)の5名からなる世界基準の音楽制作集団。 Yamato Kasai とCassie Wei が創り出す幻想的で物語性がある楽曲は聴いた者を一瞬で虜にする。 全世界で大ヒットしている音楽ゲームアプリ「Deemo」に多数の楽曲を提供し、人気のアーティストとしてその認知度を広め、YouTube のチャンネル登録数(ファン数)はインディーズシーンでは異例の31万人を超える。リリースしたCDは全三作ともオリコンインディーズチャート1 位を記録、 ライブでは2017年2018年の二年連続でSUMMER SONICに出演、中国・台湾・シンガポール等の海外公演等を行い、人気のアーティストとしてその認知度を広め、2020年には世界的なSFアクションの金字塔として知られる「攻殻機動隊」シリーズ最新作「攻殻機動隊 SAC_2045」エンディングテーマを担当するなど活躍の場をさらに広げていている。 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会 (C)武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会 (C)蝸牛くも・SBクリエイティブ/ゴブリンスレイヤーGC製作委員会 関連リンク Miliオフィシャルサイト『攻殻機動隊 SAC_2045』公式サイトTVアニメ『グレイプニル』公式サイト『ゴブリンスレイヤー-GOBLIN’S CROEN-』公式サイト

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