海外では事故も……欧米ではエクソソームは規制の対象なのに「日本では治療を受けられる」深刻な闇
どこで診てもらうか、誰に診てもらうかで、文字通り運命が決まる。知っている人だけが幸せになれる、優れた医療の「条件」とはなにか―一流の医師たちが明かした。 【一覧】多くの芸能人が亡くなっている…注意すべきガン自由診療の言葉 前編記事『「夢のような治療法」エクソソームを日本で規制できない「裏事情」』より続く
なぜ自治体の「警告」は効果がないのか?
「エクソソーム試薬を医薬品と誤認させるものや、医薬品的効果、効能を標榜・暗示するものは、指導及び取り締まりの徹底をするよう呼びかけています。ただし、研究や実験に使う試薬として販売すること自体を禁じているわけではありません」 もう一つの「警告」はクリニックの医者宛のものだ。 「こちらは『エクソソームを用いた医療については、現時点で、使用されるエクソソーム等で諸外国を含め有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はありません』としたうえで、『当該医療を行う場合には、実施する医師の責任のもと、特にその安全性について留意する』とあります。 しかしこの警告も、あくまでも安全性について求めているだけで、エクソソーム治療そのものは規制できていません」 エクソソーム製造業者は「試薬を売っているだけ」と言い、クリニックの医師は「安全性に留意して使っています」と言えば、釈明はいくらでもできてしまう。 エクソソーム治療が、単に効果がなく、また健康に問題のないものであれば、あくまでも「個人の自由」として認めてもいいのかもしれない。しかし、海外では事故も起きている。
重篤な病気になることも
「'19年に米国ネブラスカ州で未承認のエクソソーム治療を受けた患者が、感染症による臓器障害や、敗血症といった重篤な病気になったケースが報告されています。この事件を受けて、食品医薬品局(日本でいう厚生労働省)からエクソソーム治療への警告が出されました」 現在、欧米ではエクソソームは規制の対象となり、基本的には治療を受けることはできない。 「しかし、日本にはエクソソーム治療を提供するクリニックが600軒以上あるとされており、'23年には死亡事例があるとも報じられたほか、エクソソーム投与後にがんの増悪が見られたにもかかわらず治療が続けられた事例もありました」 実際にエクソソーム治療を提供するクリニックは、どのように考えているのか。都内の3つのクリニックに取材を申し込み、「エクソソーム治療の根拠」「エクソソーム治療の安全性」などについて質問した。