拉致国民大集会、被害者家族は「タイムリミット」強調 家族高齢化で高まる切迫感
北朝鮮による拉致被害者の救出を求めて東京都内で23日に開催された国民大集会では、被害者家族らは「タイムリミット」が迫っていると口をそろえた。親世代らが存命中の被害者との再会の実現を切望する中で、切迫感は高まっている。 「今日元気でも、明日は体調を崩してしまうかもしれない」。家族会代表で、横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の弟の拓也さん(56)は親世代を念頭に、そう懸念を示した。 拓也さんは「親世代が健在なうちに、日本国内で拉致被害者と再会が果たされなければならない。日朝両政府は、タイムリミットがあることを意識してほしい」と強調。仮に被害者が親世代の死去後に帰国できたとしても「なぜ存命のうちに帰国させられなかったのかと怒り、家族会は日朝国交正常化に強く抗議する」と訴えた。 めぐみさんが拉致されてから今月15日で47年が経過した。母の早紀江さん(88)は「あまりにも長い年月、悲しみの中にいる」と胸中を明かし、「拉致された青年たちは、日本で才能を生かしたかもしれないのに、北朝鮮に閉じ込められている。日本はこんなことでいいのか」と石破茂政権に一層の奮起を求めた。 有本恵子さん(64)=同(23)=の父、明弘さん(96)は、住まいのある神戸から車いすで駆け付けた一方、別の70代の家族は体調不良で参加を見送った。 高齢化の波は北朝鮮で救いを待つ被害者自身にも訪れている。帰国拉致被害者の曽我ひとみさん(65)の母、ミヨシさん=同(46)=は、12月で93歳になる。 2人は昭和53年、一緒に帰宅途中に拉致され、ミヨシさんは以降、安否が分かっていない。ひとみさんは「半世紀近く会えないのは悔しい。日本で親孝行をさせてほしい」と訴えた。