“求人サイト”で新市長候補を公募 大阪・四條畷市が取り組む「新しい政治家の作り方」
■全国から市を「経営」できる人を市長候補に
東氏は先月、「長く権力を持つと必ず腐敗する」ことを理由に、次期市長選に立候補しない意向を表明した。後継候補の公募は、東氏の政治団体「四條畷市民の力」が民間の求人サイトで行っている(9月25日~10月15日)。条件は満25歳以上の日本国民(海外居住可)で、選考は書類選考、東氏によるオンライン面接、市民を交えた面接を経て、合議で決定される。後継となった人物には、情報量の差を埋め、フェアに選挙できる体制をサポートする。 望ましい人物像については、海外の“シティーマネジャー制度”を引き合いに出す。「行政のプロが議会や市民から選ばれ、町を運営していく。市長は人事権や予算といった大権を預かっているが、本来はより経営に優れた人物の方が、いい市政になり得る。しかし現行は、『市長になりやすい人が市長になる』構造だ。経営能力を持つ人物が市長になる方が、世の中が良くなるのではないか」と述べた。 泉氏も1年前、市長退任に合わせて公募を行った。「市長と市会議員、県会議員を公募しようと思ったが、結果的に市長はしなかった。市長は公募せず、自分が『この人』と思う人を応援する。その代わり、議員は幅広い人材がいいと思った」と振り返る。 これに東氏は、「僕は『市長だけ』と、明確に線を引いている」と返す。「全議員と同じ対話、同じ情報提供を行い、公平に支援していきたい。同じ政治団体から市長と議員を出すと、関係性が近くなる。それが良い場合もあるが、四條畷市では“市長与党”のいない運営形態が望ましいと感じる」。
■公募で選んだ候補者、その後どうなる?「政策は歪めない。サポートはする」
市長は「教育から下水道」まで、あらゆる領域を見る必要がある。「福祉ひとつ取っても、高齢福祉と児童福祉、障害福祉は法的に違う。これらをキャッチアップする苦労はある」。ただ一方で、後継者が決まっても“院政”になるだけではとの指摘もある。東氏は「今回の政治団体は、あくまで市長が幅広い人々から選ばれる枠組みだ。政策やイデオロギーのために自己拡大する“政党”とは異なり、政策を主張する考えは一切ない」と説明した。 サポートの内容については、「8年間の取り組みで、『市長として踏んではいけないボタン』に気付いた。これは事前に伝えるべきで、その道を選ぶなら助言したい」としながら、「政策まで歪めたら、二重権力と言われかねない」とも語る。 どれだけの期間、サポートを続けるのか。「取り組む課題による。5年計画の取り組みは、1年目に伝えきれない。中間地点でアドバイスすることもあるだろう」。これに泉氏は「私は、当選までは全面応援したが、通ったら一切口出ししていない」と返す。「議会や役所には、長年の慣習がある。方針転換や、調整の有無など、いろいろあるのではないか」と主張した。