巨人と日ハムがトレード。大田と吉川は環境が変わればブレイクできるのか?
巨人と日ハムが2対2の大型トレードを敢行した。電撃的に巨人の大田泰示外野手(26)、公文克彦投手(24)と、日本ハムの吉川光夫投手(28)、石川慎吾外野手(23)の2対2の交換トレードが発表された。 ファンの間では、どっちが得か? の議論が早くも始まっていて「巨人が得した」の意見が圧倒しているが、そもそもこのトレードの成り立ちから見て、両者の思惑は違うのだから、どちらが得かの結果を出すのは早計だろう。 巨人は今季、菅野に続き、田口が1本立ちしたが、その後に続く和製エースが出てこなかった。9勝した内海も安定感には欠き、先発を任すことのできる投手力の補強がオフの大きなポイントだった。実際、FAでも横浜DeNAの山口俊に興味を示している。 吉川は、2012年にダルビッシュ有の抜けた穴を見事に埋め、チームを優勝に導いたMVP左腕。今季は先発で20試合に投げて7勝6敗、マーティンが故障で抜けた期間に緊急ストッパーとして配置転換されたて3セーブを挙げたが、ベンチの信頼を勝ち取ることができず、日本シリーズでは、先発でも抑えでも出番が巡ってくることがなかった。日ハムからすれば、推定年俸9000万円の“余剰戦力”だった。 年俸総額のバジェットを常に睨んでいるフロントサイドからすれば経営上、放出を考えるのは当然。そこに大きく化ける可能性があり、しかも年俸が推定2100万円と安い大砲候補の大田を獲得できたのだから、日ハムにとっても悪くない取引だった。それぞれが抜ける部分を埋める意味で、公文、石川の交換トレードも付け加えられた。 こういう大型トレードの際、その理由のひとつにされるのが「環境を変えれば活躍できる」という期待値である。巨人の堤GMもトレード発表の会見で大田の放出について「チーム内で色々議論はあったが、環境を変えた方がいいという判断」と口にした。 では、トレードで環境を変えれば成功するのだろうか? その環境とは何を示し、どんな理由があるのだろうか? 環境の違いの代表として出されるのが、セ、パの野球の違いだ。交流戦でも明らかだが、パ高セ低の実力差の傾向があり、配球についても、パは、ストライクゾーンでの力勝負、セは、ボール球を使っての制球勝負とも言われている。今季も119打席で45三振を喫するなど、揺さぶりにからっきし弱かった大田の場合、力勝負のパでは、化ける可能性があるのでは? とも言われているが、どうなのだろうか? 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、「セ、パの違いがあるとすれば球場の大きさの違いでしょう。圧倒的にパの方が、広い球場が多い。一発が魅力の大田に関して言えば、狭い東京ドームやハマスタ、神宮などでプレーすることができなくなるので、そこは逆に環境の違いはマイナスなのかもしれません。 セでもパでも配球の違いなど、ありませんよ。むしろ、環境の変化が影響するとすれば、指導者の変化です。大田は巨人で8年間、ほとんど結果を出せませんでしたが、日ハムで、監督、打撃コーチが変わることで、指導者側の見方も変わりますし、彼も何かのヒントを得るかもしれません。 最終的にやる、やらないは本人次第ですが、トレードによってブレイクするパターンがあるとすれば指導者の変化だと思うんです。トレードした選手にはチャンスを与えますからね。吉川もボールには力があります。ただムラがあり安定感に欠きます。そのあたりをどうカバーするのか。吉川もチャンスをもらえることは間違いありませんからね」と、分析する。