史上初、入獄した元法務大臣の河井克行氏が見た刑務所の世界 「次は良い大臣になるよ」その言葉の真意とは?
東京地裁は、河井氏が参院選で地元議員ら100人に現金を渡し、妻・案里氏への集票を依頼して公選法に違反したと認定。案里氏も一部を共謀したと判断され、当選無効になった。そのためか、事件後は離婚説なども取り沙汰された。しかし、昨年11月29日に仮釈放された河井氏は、東京都内で案里氏との生活を再開させた。 「日本人全員が、『こんなばかな夫なんて捨てて別れた方がいいんじゃないか』って思ってたでしょうね。普通なら、離婚されても文句言えない立場ですよ。夫がばかなことを主導したおかげで、彼女も有罪となって議員辞職せざるを得なくなった。僕のことを恨んで当然です。妻がなぜ僕を捨てなかったのかって?それは、僕にも分かりません。妻は計り知れない人ですから」 「逆説的かもしれないけど、2001年に結婚してから、今が一番、仲がいいんじゃないかな。国会議員時代は、平日は東京で、週末に広島の自宅に帰るだけだったからね。外国出張も多く、一緒の時間を過ごせた機会は本当に限られていたから。さらに逮捕後は3年2カ月、物理的に引き離されてしまいましたしね。だからか、仮釈放から1年近くたちますが『あなたが帰ってきてよかった』と、いまだによく言われます」
仮釈放後、河井氏は地元・広島を訪れ、関係者に事件の謝罪をして回っている。今夏には、著書「獄中日記」(飛鳥新社)を出版し、刑務所での日々や、獄中で感じた課題をエッセー風に書きつづった。「今、苦しい思いをしている人たちにこそ、読んでもらえれば。特に、若い人たちに僕のしくじり経験から教訓を引き出してほしいですね」 10月19日には、京都大で開かれる日本犯罪社会学会の年次大会に出席し、刑事司法の専門家らを前に自身の体験を語る予定だ。くしくも刑期満了の日で、「再犯率減少のために役立ちたい」と話している。 現在は、政治家時代に訪れた国々に出張しては、外交・安全保障分野で貢献する道を模索している日々だという。 「事件では、本当に多くの人にご迷惑をかけてしまいました。これは、生涯にわたって自分が背負い続ける十字架です。私益を求めるんじゃなくて、公(おおやけ)のために貢献する人生を生きる。それが、自分が背負っている十字架の意味だと考えています。とはいっても、昔のようにしゃにむにやるわけじゃない。川の流れに身を任せ、夫婦2人、楽しみながら生きたいですね」 * *
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