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お茶、最盛期迎える鹿児島 コロナ騒動から異変

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食品新聞

 鹿児島の一番茶が最盛期を迎えている。今年は照りがない(色乗りが悪い)などの品質的なことと、それ以上に消費地で新茶セールが行えないため、茶価は昨年より2割安で推移している(4月23日現在)。平均価格は早くも1000円台に突入しており、例年通りの新茶セールができていれば「今も2000円台を維持していたはず」とみる茶商は多い。  茶業界全体が新型コロナウイルスへの警戒感が強く、東京など県外から買い付けに来る茶商との“距離感”も強い。本来は「お客さん」で、いつもなら食事などへ招待するが、今年は一切の誘いがないという。また、茶市場への入場も県外の人間は禁止され、地元の茶商に仕入れを頼んでいる状態。  これは、4月中旬から本格的に動き始めた静岡茶市場も同様で、県外の客は茶葉の感触などを確かめ試飲もする拝見場はもちろん、茶市場自体への立ち入りも制限されている。   県外の客は、LINEを使った写真での仕入れが多くなっている。また静岡の茶商も、拝見場では“3密”を避けるため十分な距離を取り、換気のためドアや窓は開けっぱなしで、日によっては寒い思いをしながらの仕入れとなっている。

 農林水産省は2月に、19年産のお茶の主産県における生産量などを発表した。摘採面積は3万2400haで前年比3%減。生葉収穫量は35万7400tで前年比7%減。荒茶生産量も7万6500tの6%減と、いずれの数値も落ち込んでいるが、特に最大の生産県である静岡が厳しい状況になっている。  同県の摘採面積は1万4000haの5%減、生葉収穫量は12万9000tの14%減、荒茶生産量は2万9500tの12%減で、分母が大きいだけに全体へ及ぼす影響も大きい。摘採面積は15~17年の3年間は2%減で推移し、18年が3%減で、ついに19年は5%減と大きく減少した。  長引く茶価の低迷や後継者難から、生産者組合などが運営する、生葉を集め荒茶加工を行う工場の閉鎖が続いており、特に18~19年には大型荒茶工場の閉鎖が見られるようになっていた。生葉が集まらないから工場を閉じるのか、工場を閉じるから生産者が生葉を作らなくなるかではなく、どちらもお茶の生産・製造に見切りをつけた結果と思われる。  一方、静岡に次ぐ第2位のお茶の生産県である鹿児島の19年実績は、摘採面積、生葉収穫量、荒茶生産量のいずれもが前年並みを維持した。09年の全国の荒茶生産量は8万6000t。このときの生産割合は静岡が42%、鹿児島は27%だったが、当時から後継者問題がないこと、平坦な産地が多く大型機械が導入しやすいこと、一番茶から秋冬番茶まで各茶期ごとに摘採を行っていることなどから、いずれ鹿児島が静岡を抜いて日本一の生産県になると言われていた。  19年の荒茶生産量を見ると、静岡は2万9500t、鹿児島は2万8000tで、生産割合は静岡39%、鹿児島37%となり、その差はわずか2ポイントにまで一気に縮まった。今年の動向次第では鹿児島が静岡に代わり全国一の生産県となる可能性がある。  ※荒茶は、商品になる一歩手前のお茶。荒茶を仕上げると商品になる。

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