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「僕は怖い者知らず」ホリプロ社長・堀義貴がエンタメの力を信じる理由

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婦人公論.jp

堀 経済的な打撃ももちろん痛いんです。でも僕が一番ショックを受けたのは、経済的支援を求めて国会議員に陳情したり行政に掛け合ったり、窮状を知ってもらうため声明を出したときに、匿名の一般の人たちから猛烈な非難を浴びたことですね。 「生きるのに必要ないものなのに、なぜお前らのために税金を使うんだ」「普段金儲けしてるくせに、困ったら金をせびる奴らだ」など……。あれで一度、心が折れました。自分たちの仕事って、そんなもんだったのかって。気にしなきゃいいじゃないかと言われますけど……。 中村 それは気にしますよね。 堀 俳優やタレント、アーティストがそういう批判を目にしたら、自分たちは何のために何年、何十年もやってきたんだろうと絶望しますよ。 中村 ドイツのモニカ・グリュッタース文化相が「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言して、いち早く500億ユーロの大規模支援をしたのとは大違いですね。 堀 日本政府は歌舞伎や能などの伝統文化には非常に手厚いのですが、庶民がもっとも親しんでいるエンタメに対しては「勝手にやってください」という姿勢です。世界戦略である「クールジャパン」には食や観光と並んでエンタメ・コンテンツが入っているのに、なおざりにされている感がありました。 中村 文化芸術に対して、国家レベルで理解が乏しい……。映画、音楽、舞台、テレビ、アニメなど、エンタメのない世界ほど味気ない人生はありませんね。私自身、どれだけ影響を受けているか計り知れませんから。 堀 衣食住が最低限満たされていても、日々の暮らしのなかで、悩んだり苦しんだり落ち込んだりする。誰にも相談できないこともある。たとえば失恋して死にたいような気持ちのときに中島みゆきの曲を聴いたら、体の水分が全部出るくらい泣いてさっぱりして、明日からも生きようと思えたりするでしょう。サザンオールスターズや小田和正とか、誰にだって好きな歌や自分だけの応援歌ってあるじゃないですか。 中村 ありますね、心の応援歌。 堀 心の支えになったり、舞台に感動したり芸人に笑わせてもらったり、それがエンタメの力です。人間は文化芸術を通して、今日、明日を精一杯生きていこうという気持ちになる。それは出演者も観客も同じです。文化芸術へのリスペクトを国民に期待したいですし、こと政府に関しては、どうしたら再開の道筋がつけられるのか、中長期的な指針を示してほしいですね。 ◆子ども時代はコメディアンに憧れて 中村 先日、創業者でお父様の堀威夫さんがファウンダー最高顧問を87歳で退任されたことがニュースになりました。ホリプロは今年創業60周年。和田アキ子さんや山口百恵さん、石川さゆりさん、森昌子さんら数々のスターを育てられ、ミュージカル『ピーター・パン』の制作を発案し成功に導かれた。どんなお父様だったんですか。 堀 私は父より早く家を出て、父は深夜に帰宅する多忙な生活。ほとんど会わないから、子ども時代から何も言われたことがないんです。コミュニケーション手段は手紙で、月に1回「お小遣いください」とか(笑)。あ、でも運動会とか参観日には必ず来てくれましたね。 中村 もともと威夫さんは小坂一也さんらと学生バンドをやっていて、ロカビリーのスウィング・ウエストというバンドで一世を風靡された。佐川満男、守屋浩、湯原昌幸、田邊昭知(田辺エージェンシー社長)とそうそうたるメンバーのリーダーでした。

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