【古市憲寿×みたらし加奈】同性婚ができなくてもラブラブな関係を保つ秘訣とは?
まだ同性婚ができなくてもラブラブな関係を保つための秘訣とは?
社会学者の古市憲寿さん(独身)が、世の女子を悩ませる“結婚”の正体を暴く!? 今回はSNSで同性パートナーとのラブラブな日常を発信している、みたらし加奈さんと対談! 古市憲寿【結婚の正体をさがして】特集はこちらから 【みたらし加奈】 1993年生まれ。東京都出身。フリーランスの臨床心理士としてSNSを通してメンタルヘルスやLGBTQ+の認知を広める活動をしている。昨年、初の書籍『マインドトーク-あなたと私の心の話-』を発売。パートナーと共に運営するYouTubeチャンネル「わがしChannel」では、ライフスタイルやファッション、ビューティの情報を発信している。
同性だからこそ性役割を度外視した協力関係を築きやすい
■古市さん(以下・古) 「パートナーの女性と一緒に配信されているYouTubeを拝見しましたが、本当に仲良しカップルですよね」 ■みたらしさん(以下・み) 「ありがとうございます。YouTubeは二人の思い出を記録する感覚で気軽に始めたのですが、次第に視聴者の方々から『LGBTの人たちへの偏見がなくなった』といった声をいただくことが増えてきて。今は、社会的な意義も感じながら動画制作に励んでいます」 ■古 「みたらしさんは、ずっと女性が恋愛対象だったのですか?」 ■み 「いえ、男性と付き合ったこともあるんです。同性との交際は今のパートナーが初めてですが、好きになった人がたまたま女性だったという感覚で。たぶん私はパンセクシャル(全性愛者)と呼ばれるセクシュアリティなんだと思います」 ■古 「以前と付き合う相手の性別が変わったことで、恋愛観に何らかの変化はありましたか?」 ■み 「男は仕事で、女は家事……みたいな、凝り固まったジェンダーロールにとらわれない関係性を築けることが新鮮でした。世間が思う性役割を度外視して、お互いに得意なことをやって支え合っていけるのは、すごく居心地がいいですね」 ■古 「日本には意識のズレから生じる居心地の悪さを埋められずに離婚を選ぶ夫婦が多いですよね。異性同士よりも同性同士のほうが精神的に歩み寄りやすいのかな」 ■み 「私たちも生理周期が重なったときは小競り合いが増えることもありますが(笑)。コロナ禍でストレスフルな状況だからこそ、自分の思いを素直に伝えたり、相手の思いを素直に受け止める姿勢は、夫婦やカップルに限らずすべての人間関係において大事になってくるのかなと」 ■古 「日本でも同性婚が可能になったら、結婚したいですか?」 ■み 「したいですね。法律で家族として認められていないと、例えばパートナーが急病で危篤になっても面会できなかったりするので」 ■古 「それは不安ですよね……」 ■み 「事実婚状態でもペアで住宅ローンを組むのが難しいですし、結婚というステップを踏めないと関係性が行き止まりになることもあるというか。私の周りにも先が見えなくなって別れを選ぶ同性カップルはいました」 ■古 「社会の意識の変化に、政治と法律が追いついていない気がします。それでも信用できるパートナーとの出会いは大きいですよね」 ■み 「自分にとってはそうでした。私は殻に閉じこもってしまうタイプでしたが、100%信用できるパートナーと出会ったことで自分の居場所を見つけられたし、社会のことも信じられるようになったかなと」 ■古 「社会を信じられるようになったって大きいですね。この雰囲気が早く政治を動かすようになればいいなと思っています」
’85年東京都生まれ。社会学者。若者の生態を的確に描出し、クールに擁護した著書『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)などで注目される。