「相手のうわさにすら上がっていなかった」 吉永小百合の母から「殺したい」とまで言われた夫・岡田太郎さん、乗り越えた歳月【追悼】
小百合の母から「殺したい」
苦難は続く。結婚から3年後、小百合さんの母親が著書『母だから女だから』を発表。〈私は今までに、ほんとうにただ一度だけ、人を殺したいという「殺意」を持ったことがある〉と文中で岡田さんを名指しした。 小百合さんの父親は89年に他界、母親も2005年に世を去る。岡田さんは両親について沈黙を守ってきたが、06年、本誌に初めて胸中を語っている。〈確かにカミさんの両親とはいろいろありました。(中略)本のことはよく覚えています。本当に私のことをそう思っていたんでしょうからね〉〈(小百合の実家とは)その後に和解したんですよ。(中略)お互い行き来もありました。でも、会っても本のことはあえて話題にしないようにしました。面と向かって謝罪されたことはありませんがその気持ちはあったのだと思います。年月がたつうちにわだかまりも少しずつ消えていったのでしょう〉
夫婦で乗り越えてきた歳月
85年、共同テレビジョンの取締役になり社長、会長、相談役を歴任し、03年退任。手柄話はせず、“自然に流れて生きていければいい。ただし、土壇場に行き着いた時にだけ猛然とやる気になる”と語っていた。妻を自然と支えていたのだ。 昨年12月、胆嚢がんが見つかり9月3日、94歳で逝去。 元芸能レポーターの藤田恵子さんは言う。 「岡田さんが亡くなったことを直筆の文書で伝えるとは小百合さんらしい。小百合さんはおだやかでほんわかしていても信念を持ち芯が強い方です。普段プライベートを語らずとも、どんなことがあっても夫婦で乗り越えてきた歳月を感じました」
「週刊新潮」2024年9月26日号 掲載
新潮社