そのコーヒー、原産地の“汚水まみれ”かも。誰も知らない「生コーヒー豆を洗う」べき理由
コーヒーの生豆は、洗うべきか洗わざるべきかーー。コーヒー業界でたびたび交わされるという議論の行方は、いまだ白黒がついてないという。いや、むしろ、洗う派は圧倒的に劣勢で、洗わない派が一般的だ。 ▶︎すべての写真を見る そんななか、50℃のお湯でゴシゴシと洗う異端児がいた。「アームズメソッド」を考案した竹林利朗さんだ。 「米や野菜も調理前に洗うのに、なんでコーヒーの生豆はなんで洗わないんだろうという疑問が発端でした」。
言われてみれば確かにそうだけど……。でも、コーヒー豆ってそんなに汚れてるの? 洗うことでコーヒーの香りが抜けないの? 味は薄まらない? 気になる疑問を竹林さんに丸ごとブツけてみた!
コーヒー豆、実はかなり不衛生だった……
ーーなぜコーヒー豆を洗うことにしたんですか? コーヒー好きが高じて、10年ほど前に自分で焙煎し始めました。一般的な教科書には豆を洗う工程はなくて、「え、洗わないんだ?」と疑問を持ったのが発端です。 豆って、数ヶ月をかけて常温コンテナで外国から運ばれてくるじゃないですか。それを考えれば、衛生的にも絶対に洗った方がいいと思い、試しに洗ってみたんですよ。 ーー洗ってみてどうでした? あまりにも汚れていてびっくりしました……。いろいろと試して、50℃のお湯で洗うのがベストだという結論に至ったんです。 ーーなぜ50℃なのでしょう? 菌は60℃以下だと活性化されてしまいます。死滅させるためには、60℃以上じゃないといけません。でも、そんなに熱いと手で洗うことができないじゃないですか。ゴシゴシと手で洗えて、なおかつできるだけ菌をやっつける温度。それがだいたい50℃なんです。 ーーでも、50℃では菌が活性化してしまうのでは? 焙煎時に185~245℃程度の熱を一定時間加えるので、洗浄するときは可能な範囲の高温で洗浄すれば大丈夫です(※)。 (※)芽胞菌の類は、生存できない環境でバリアを張って耐えるものもあるので要注意。