4回転7本すべてで回転不足判定に「複雑だけど乗り越える」 王者イリア・マリニンに単独インタビュー
GPファイナル王者イリア・マリニン(アメリカ)インタビュー 前編(全2回) フランス・グルノーブルで開催されたフィギュアスケートのGPファイナル(12月5~8日)で、アメリカのイリア・マリニン(20歳)が連覇を果たした。驚くべきは、フリーで4回転7本に挑んだこと。一方、すべての4回転が"回転不足"という判定がつき、課題も残った。史上初の栄光に挑んだマリニンに、単独インタビューを行なった。 【写真】イリア・マリニン、坂本花織、鍵山優真...「ドリーム・オン・アイス2024」フォトギャラリー 【自分の居場所を見つけ始めた】 ーーGPファイナルは、ショートプログラム、フリーともに自信にあふれた演技でした。昨シーズンに世界選手権で初タイトルを獲って今シーズンに臨んでいます。精神的に変化がありましたか? イリア・マリニン(以下同) 世界選手権で優勝したことでの自分にとっての変化は、「自分の居場所」を見つけ始めたことです。「自分はこんなスタイルで、こんな独自性があるよ」という自分の存在を、自分自身で認められるようになったんです。試合で氷の上に立った瞬間に、「自分の居場所」に入りこんで準備が完了する。それが自信につながっていると思います。 ーースケートカナダが10月末に終わってから、ファイナルまで1カ月半ほど空きました。 スケートアメリカ、スケートカナダと2試合続けて出たことで、ファイナルまでの準備はラクになりました。ゆっくり時間をかけて、スタミナを上げていく練習に集中できました。 ーーショートはパーフェクトの演技で、首位発進でした。手応えは? まずはGPファイナルということで、何か変化がほしくて新しいコスチュームにしました。ショートの曲『Running』のストーリーは、自分の中の気に入らない部分を取り除きたいのに、その方法が見つからずに苦悩する。プログラムの最後に、そこから脱する方法を見つける、というもの。コスチュームのグレーは監禁されるような苦しみと摩耗(まもう)を表し、青は自由を表しています。 ーーショートの演技についてはいかがでしょう? 本番で氷に足を踏み入れた時、自信が湧いてきて、すごくいい気分でした。100%の集中状態でジャンプを跳び、そして最後のステップシークエンスでは観客の波に身をまかせることができました。そして自然と歌詞を口ずさんでいました。本当に大好きな曲で、試合前に聞いて、集中状態に入る時にも使っている曲なんです。