<Bリーグ>林翔太郎(新潟)、古巣・川崎に“27分17秒”の恩返し
きれいなプレーではなく、もっとがむしゃらにプレーしなければ
暮らした街の数だけ故郷があると思うことができれば、人生はとても豊かで幸せだ。 Bリーグ、新潟アルビレックスBBの林翔太郎は、生まれ育った北海道で高校卒業までを過ごした後、東海大九州へ進学のため遠く熊本県へ。さらに、卒業を目前に控えた2018年1月、故郷である北海道深川市出身者では初のプロバスケットボールプレーヤーとして川崎ブレイブサンダースに入団、神奈川県に居を移した。 Bリーグでも常に優勝を争う川崎は、チーム内の競争も厳しく、それまで旭川大高時代のインターハイ出場やU23日本代表の経験がある林にとっても、安定してロスターの枠を勝ち取ることは容易ではなかった。2018-19レギュラーシーズン、出場した53試合の平均プレータイムは9分53秒、平均得点は1.8点。続く2019-20シーズンは新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で終了してしまったとはいえ、出場した22試合の平均プレータイムは4分53秒、平均得点は0.7点と低迷した。 迎えた今年4月、林の名はBリーグの公示する自由交渉選手リストに掲載されるが、6月、求められて新潟への移籍が決まった。 2020-21シーズンが開幕して間もなく1か月が経とうとしていた10月28日、新潟は敵地での川崎戦を迎えた。 そこまでの9試合で新潟は3勝6敗と負け越していたが、チームの期待を担った林は、平均プレータイム27分44秒、平均得点は6.6点と奮闘していた。 「全然もの足りないと思っています。けれど焦りはありません。チームも大きくメンバーが変わっていますし、連携の部分もまだまだ他のチームと比べたら劣っている部分がありますが、ゲームを重ねるごとに良くなっているように感じています。伸び代しかないと思いますし、練習を積み重ねてさらに良くしていきたいと思います。 個人としては、きれいなプレーばかりしようとしていたので、もっとがむしゃらにプレーしないといけないと思っています。オフェンスもディフェンスも、誰よりも積極的に、泥臭くプレーしていきたいです」 林はそのようにここまでの戦いを振り返った。チームと自身の現状を把握し、課題が明確になっているのは、飛躍的に伸びたプレータイムによるものに違いない。さらに、チームにおける自身の役割と今シーズンの個人としての目標についてこう語っている。 「プレシーズンから毎試合、先発出場させてもらっていますので、まずチームに勢いをもたらすようなプレーを求められていると思います。オフェンスだけではなく、ディフェンスでも相手のエースを止めることであったり、スタッツに残らないプレーをしていきたい。もちろん、平均10点以上を目指していますが、その時に求められていることに柔軟に対応してチームの勝利に貢献できることを一番に考えています」 まだ25歳の林にとって、新潟での日々は学びとチャレンジの連続だ。 「五十嵐(圭)選手をはじめ、池田(雄一)選手、佐藤(公威)選手は経験が豊富で、練習や試合の時にいつもアドバイスをもらっています。新潟は今年で20周年の歴史あるチーム。その一員であることを自覚して、『新潟と言えば林!』と言ってもらえるようなプレーをしていきたい」 新天地で充実した時間を過ごしていることが、その言葉からにじみ出ている。新潟は林にとって、第四の故郷になりつつあるようだ。 「新潟はとても暮らしやすいところ。暑いのは苦手なので夏は本当にたいへんでしたが、寒いのは得意なので、最近は涼しくなってきてうれしい(笑)。食べ物もおいしいですし、(チームの拠点の一つでもある)長岡は特にラーメンが美味しいです」 <動画>インタビューダイジェスト【脱サラしてプロ選手へ】石井講祐選手(SR渋谷)