「Wii U」は売上不振に終わったゲーム機、だけじゃない 次世代機へ残した功績とは
売上不振の原因は「新作ソフトの供給不足」
2020年3月発売の『あつまれ どうぶつの森』が「Nintendo Switch」の販売台数を大きく牽引したように、ゲームソフトとゲームハードの存在は密接に結びついています。人気シリーズの続編や新進気鋭のオリジナル作品などなど、ユーザーの耳目を集めるソフトが滞りなく流水のように発売され続ければ、自ずとゲームハードへ目が向けられる。やや極端な意見かもしれませんが、それほどまでにゲームソフトの価値は大きいと思われます。 ところがWii Uの場合、新作ソフト(パッケージ版)のリリース本数が約30本のまま次第に減速。ローンチソフトも含めてしばらくは供給が続いたものの、これからドンと売り出すべき時期が来ても訴求力の強いソフトを送り出すことができず。やがてサードパーティーの多くもソフト供給から撤退してしまい、ゲームソフトの頭数をそろえることが難しくなってしまいました。 加えて任天堂がHD出力対応のソフト制作に慣れておらず、自社の有力ソフトを完成させるまでに時間がかかってしまった点も要因に数えられるでしょう。
『スプラトゥーン』と『スーパーマリオメーカー』を生み出した功績
とはいえ、一概にWii Uを”売上の振るわなかったゲームハード”と評するのは早計です。確かにセールスは及ばなかったかもしれませんが、Wii U専用ソフトのなかからはミリオンセールスを達成した話題作が誕生。2020年現在も話題に上がる人気シリーズを生み出しました。 特に目立つのは『スプラトゥーン』(2015年5月発売)と『スーパーマリオメーカー』(2015年9月発売)です。前者はチーム同士によるシューティング対戦、後者は「マリオ」シリーズのステージエディット機能で好評を博し、両ソフト共に口コミ効果やゲーム実況文化も相まってWii U後期の売上台数を大きく牽引。Nintendo Switchへ代替わりした後も続編が作られるほどユーザーから支持を得ることに成功しました。 そのほか、次世代機であるNintendo Switchのローンチ時にはWii U時代の資産を生かしたソフトが次々登場。なかでも『マリオカート8デラックス』は売上累計1800万本を超えるキラーソフトとして、リリースから3年経ってもなおNintendo Switchの本体売上に貢献しています。 ちなみにWii Uは新作ソフトの供給本数こそ恵まれなかったものの、過去の名作をダウンロードして遊べる「バーチャルコンソール」(以下、VC)向けソフトは豊富に取りそろえていました。ファミリーコンピュータにはじまり、スーパーファミコン、NINTENDO64、PCエンジン、MSXあたりを幅広くカバーしているほか、携帯ゲーム機のゲームボーイアドバンス及びニンテンドーDS用ソフトも合わさり、ラインナップは400本を越えています。 「Wii」向けのVC購入機能は既に利用できませんが、Wii Uは今も変わらずVC向けソフトをインストール可能。レトロゲームに親しみを覚える方にとっては魅力的に映るかもしれませんね。
龍田優貴