【高校野球】大谷翔平や佐々木朗希を凌駕する完成度の高さ 横浜高の1年生右腕・織田翔希はすでにドラフト1位の器
ボールの走りだけを論ずれば、明徳義塾戦よりも秋季関東大会初戦・東農大二戦のほうがよかったように見えた。ただし、この試合も織田のなかでは本調子とは言えなかったようだ。試合後、織田は「真っすぐであまり(ストライクが)入らなかったので、チェンジアップで緩急を使えたのはよかったと思います」と語っている。 そう言いつつも、結局は東農大二戦も2安打完封勝利を挙げている。つまり、状態が悪くても、悪いなりに抑える術を持っているということ。大型本格派の織田が1年秋時点でその技術を持っていることは驚異と言っていい。 【硬式球を握ってまだ1年未満】 しかも、織田は福岡・北九州市立足立中では軟式野球部でプレーしている。本格的に硬式ボールを握るようになって、まだ1年も経っていないのだ。硬式ボールを握り始めた当初は「重さが違うので、抜けやすい」と違和感を覚えたが、高校に入学して1カ月もすると「感覚をつかんだ」という。 織田の投球を見ていると、2球続けて失投することが少ない。高校生なら再現性が低く、感覚を微修正するのに時間がかかるものだ。ところが、織田はボールが抜けたり引っかかったりした直後、1球で修正してくる。だからこそ、投球に安定感がある。 なぜ修正できるのか、織田に聞いてみた。 「キャッチボールの時から、リリースからの軌道を常に意識して投げています。それができているから、試合でも修正できるのかなと思います」 囲み取材中の発言を聞いていても、高校生1年生にありがちな幼さがあまりない。 「責任を持って1球1球投球しました」 「勝たせる投手になりたいです」 織田の口からは、そんな言葉が頻発する。背番号は10番ながら、「エースの自覚」を感じるのだ。 それは横浜高の村田浩明監督が織田に求め続けてきたものでもあった。村田監督が明かす。 「織田はいい球を投げるので、『勝たせるピッチングをしなさい』とうるさく言ってきました。どんな状況でもコースを突いて、野手が守りやすいように投げることを求めてきました」