<相次ぐ学校統廃合>やり方間違えれば人口流出と地域経済低下を招く?能登半島地震からの復興でも気を付けるべきこと
地域経済政策として検討されるべき課題
もちろん、この結果はイタリアについてのもので、日本で同様の結果が観察されるとは限らない。さらに、分析対象も小学校が一つしかない自治体であるため、それが閉校になることの影響が非常に強く観察されていると考えられる。そのため、日本の多くの自治体で小学校を一つ閉校する効果はこの研究の結果よりはかなり小さいかもしれない。しかし、この結果は、少なくとも確かに学校閉校が人口流出を促してしまうことを示している。 図2で確認したように、昨今の情勢として、多くの都道府県で生徒数の減少よりも小学校数が大きく減少しており、こうした都道府県で、小学校を閉校した自治体から、それを理由にした人口流出がどの程度生じたのかは検証する価値があるであろう。 今後しばらくの間は少子化が続くと考えられ、学校の統廃合は避けられない。能登半島地震のような災害後の復興においても、苦渋の決断が余儀なくされる。 生徒の数が減れば、統廃合は致し方ない判断になるが、やり方を間違えれば、地域の衰退に拍車をかける可能性もある。どのように進めるのがよいのかを考えるためにも、学校統廃合の人口流出や所得に代表される地域経済への影響を定量的に把握した上で政策判断する必要があるであろう。
佐藤泰裕