<相次ぐ学校統廃合>やり方間違えれば人口流出と地域経済低下を招く?能登半島地震からの復興でも気を付けるべきこと
都道府県間の違い
各地域に目を転ずると、学校数の変化は少子化だけでなく人口移動にも左右される。そのため、学校数の変化は全国一律ではなく、地域の実情に合わせて様々である。 図2は都道府県別の学校数変化率を生徒数変化率と対応させて散布図に示している。図2の上図は92年度から02年度にかけて、つまり、生徒数の減少が始まって少し経った頃の変化率を、下図はより直近の12年度から22年度にかけての変化率を表している。 図中では、赤い点が小学校、青い点が中学校、緑の点が高等学校を表している。まず、どちらの期間も生徒数の減少は都道府県により大きく異なり、数パーセントの微減の場所から20~30パーセントの大幅減のところまで様々である。 それに伴い、学校数の変化も様々であるが、その様子を整理するため、図中に45度線を点線で描いている。その線上に点があれば生徒数の変化率と学校数の変化率とが同じである。つまり、生徒数の変化にちょうど対応するように学校数が変化しているということである。 生徒数が減っている都道府県の場合、点がこの線よりも上側に位置していると、生徒数の減少に比べて学校数は相対的に減っていないことを表し、下側に位置していると、生徒数の減少に比べて学校数が相対的に大きく減っていることを表す。 92年度から02年度の10年間は、すべての都道府県の点がこの線の上側に位置している。つまり、生徒数が減少しているが、学校数は生徒数減少率に比べると相対的には減っていないのである。さらに、小学校の減少は生徒数減少とある程度連動しているように見えるが、中学校や高等学校の学校数の変化は生徒数の減少幅とあまり関係していない。 しかし、より最近の、12年度から22年度までの10年間では、小学校、中学校、高等学校全てについて、生徒数が大きく減少しているところで学校数も大きく減少している。また、小学校については、点線の下側に位置し、生徒数よりも学校数が大きく減少している都道府県も多数出てきている。