“卓球が強くなる”以上のものを手に入れられる 札幌大卓球部の挑戦
「北海道の歴史を塗り替える」を合言葉に札幌大学卓球部の面々は、北の大地で腕を磨く。特集1本目では、卓球が強くなるための充実した練習サポートや“授業最優先”のモットーなどに迫った。 だが、大学生活は卓球が強くなることがすべてではない。卓球を生業として暮らしていけるのはほんの一握りだ。大多数は大学卒業後、一人の社会人として暮らしていく。 卓球を起点に社会へ踏み出す準備段階である大学生活をどう過ごせるかが今、問われている。 札幌大学には、4年間学生たちが迷いなくラケットを振りぬけるよう、学業面で独自の制度がある。今回は、その制度を利用した卓球部員たちに話を聞いた。
札幌大学独自の専攻選択も進学の鍵に
札幌大学卓球部員の多くがスポーツ推薦を通じて入学してくる。通常、他大学のスポーツ推薦では入る学部が決められていることも多いが、札幌大学では、好きな専攻を選ぶことができる。 そもそも札幌大学には、スポーツ文化専攻や英語専攻含む13専攻(※2020年4月より専攻再編し1学群9専攻)と多くの選択肢がある。受験時に将来の進路を決められないという学生に向けて、専攻選択せずに入学し、2年生時に決定・変更するという珍しい方法も可能だ。 前女子主将の濱口采花(4年・札幌大谷高出身)はその恩恵に預かった1人だ。「専攻が多く選択が柔軟にできるなと感じました。私は最初スポーツ文化専攻に入っていましたが、自分は教育の方向にいきたいと思い、地域創生専攻に変更しました」。 廃部状態だった女子部の復活1期生として札幌大学に入学し、1年生だけのメンバーでインカレ予選を突破し全国出場を遂げた濱口。札幌大学女子卓球部を主将として牽引しながら、自身の進路として卓球と社会の接点を見つけていた。 「何かを教えたいと2年生から教育系の勉強をしてきて、障がいを持っている方々にスポーツを教えるときに卓球を活かせるんじゃないかなど勉強しながら感じました」。 また、1年生の奥山瑚々(明誠高出身)も専攻選択が進学理由の1つとなったと明かす。 「卓球で大学に進学したかったのですが、大学では英語の勉強もしたかった。スポーツ推薦だと学部が決められてる大学が多く、それだったら大学行く意味もないなと。札幌大学は好きな学部を選べるということだったので、英語も勉強できるし、卓球もできるしということで進学を決めました」。