桐山漣×清水くるみ『海の底からモナムール』予告編 幽霊像を明かすロナン・ジル監督のコメントも
12月4日よりアップリンク吉祥寺ほかにて公開される映画『海の底からモナムール』の予告編が公開された。 場面写真 本作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017のゆうばりチョイス部門にてワールドプレミアを行い、第12回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門で上映された日仏合作ホラー映画。エリック・ロメール監督作品の音楽を担当するなど、多岐に渡って活躍するフランスのロナン・ジル監督の長編2作目となる。 溝口健二や増村保造の影響を受け、念願の日本で本作を撮影したジル監督は、オール日本人キャストで全編日本語ながら、日本の従来のホラー映画の幽霊とは違う、足があり、セーラー服を着ていて、性欲もある、オリジナリティ溢れるヒロインを描く。 10年前、イジメに遭い、崖から飛び降りたミユキは、タクマに「ただ愛されたい」という一心で、17歳のままの姿で、海底にいる。10年後、高校卒業後初めて島を訪れたタクマたちに待っていたのは……。 ミユキの一件以降、10年間島に戻れなかった主人公・タクマ役を『貞子』『呪怨-ザ・ファイナル-』の桐山漣、タクマを一途に想い、17歳のままの姿のミユキ役を『青の帰り道』の清水くるみが務める。また、タクマの彼女・カオリを三津谷葉子、タクマとミユキの高校の同級生・マツを前野朋哉、マツの彼女・トモヨを杉野希妃が演じる。 公開された予告編では、タクマが、同じく島出身のマツに連れられ、それぞれの彼女・カオリとトモヨと一緒に、卒業後初めて島に戻る。島で起こる奇怪なできごとが情感たっぷりに描かれている。 また、ロナン・ジル監督、撮影監督のドミニク・コラン、トモヨ役を演じた杉野のコメントも届いた。 ■コメント ●ロナン・ジル監督 タイトルを『海の底からモナムール』としたのは、本作の主な要素である「深い海」と「愛」の両方に言及したタイトルにしたかったからです。『モナムール』とカタカナにしたのは、私のフランス文化にも言及したかったからです。 瀬戸内海の海岸を訪れた時に、広島で撮影することにしました。瀬戸内海の海岸は夜、すごく特別な雰囲気があります。地元の方達が、それは、原爆の日に被爆し水に飛び込んだ方々の幽霊の存在だと言っていました。フランスでは幽霊の存在を感じることはありません。日本独特の存在なんです! 幽霊のミユキが血を吸うシーンは、「当たり障りのない日常的なアイテムが急に危険なものに変わるのが1番怖い」というアイデアから来ました。なので、本作で幽霊が使う危険な武器として、ストローを選びました。ストローを使って、幽霊は血以外に何を飲むでしょう? ストローと同じように、本作の主人公の1人であるミユキは、物語が始まる高校時代は、当たり障りのない人物で、弱者です。彼女がモンスターになるのは、復讐が必要なほど酷い扱われ方をしたからなのです。 ●撮影監督:ドミニク・コラン 私はそれまで日本に行ったことがなかったので、撮影で1番こだわったのは、日本のバイブを全く新しいフィーリングとして捉えるということです。日本に行くことは私にとって夢でした。そして、第一印象というものが大抵ベストで偽りのないものだと思います。日本のチームとは共通言語がなくてもうまくいき、お互いを良く理解できました。というのも、私たちは「映画」という同じ家族の一員だからです。 日本の俳優たちはプライベートでは感情をあらわにしないですが、演技をするとすごく情熱的で、大変感心しました。 ●杉野希妃(トモヨ役) ロケ地となった宇品の海辺に、「広島にこんなところがあったんだ!」と広島出身の私も驚きました。まるで秘密基地のようで。船が行ったり来たり、普段はおだやかな瀬戸内海なのに、夜は少し不穏な空気を纏い、テントが波に飲み込まれそうになりながらも月明かりがとても綺麗で、ミステリアスでロマンティックな場所でもありました。 フランス映画らしい海辺のバカンス、叶わない恋慕、ロナン監督のいじめ問題に対するまなざしが交差して、フランス人監督ならではの恋愛ホラー映画になったのではないかと思います。本作が過去の悲劇によって傷を負った男女の魂の邂逅と言えるのならば、アラン・レネ監督の『ヒロシマ・モナムール』と重なるのも偶然ではないような……。 劇中で重要な小道具となっているスプーンストローは「フランスにはないものだし、これはポップでかわいいから使いたかったんだ! これから物語が膨らんだよ」とニコニコ力説していた監督の姿が目に焼き付いています。楽しそうにワカメまみれにさせられたり……遊び心が満載で、チャーミングなロナン監督の言動に笑いの絶えない現場でした。斬新なローリングラブシーンは必見です!
リアルサウンド編集部