「この練習は何に繋がるんですか?」監督相手にも臆さなかった元日本代表・大友愛 当時を振り返り今、子育てで大事にしたいこと
── なるほど。根性論の対極ですね。当時の監督が大友さんにどんな印象を抱いていたのか聞いてみたいです。 大友さん:長女の美空もずっとバレーをやっているのですが、10代の私に教えてくれた監督が、美空が中学に上がったときのバレー部の監督だったんですよ。その監督と久しぶりにお話したら「10代のころのお前は本当に珍しい選手だったよな。みんなが『ハイッ!』と返事をする場面でも、自分が納得できないときは絶対にハイを言わないからやりづらかったな~」と笑って言われました。でも私としては、バレーに限らず「知らないでやることのほうが恥ずかしい」という感覚があるんです。知らないことを知っているように装ったり、納得できないことをそのまま放ったりしておくほうが恥ずかしい。
だから、4人の子どもたちにも「わからないこと、これは違うんじゃないかなと思うことは、相手がコーチでも大人でもどんどん聞くといいよ。間違っていたら大人が教えてくれるし、間違っていなかったらそれは自分の自信になるから」と教えています。 ── 間違っていたら学びに、間違っていなかったら自信になる。すごくポジティブないい考え方ですね。そういう人が組織にひとりでもいると新しい風が吹きそうです。 大友さん:でも私、前に出たいタイプではまったくないんですよ。本心では波風なんて立てたくないし目立ちたくない。毎年のように「今年こそ静かな人になろう」と思いながら生きてきたくらいなのですが…ムリでした(笑)。私にとってバレーボールは、好きだからずっと続けてこられたこと。好きな仲間と同じ目標を持って戦える。だからこそ楽しかったし、やりがいがありました。子どもたちもそんな風に、自分が夢中になれるものを見つけてほしいなと思っています。
■子どもの時間はあっという間だから ── 長女・美空さんは高校生で日本代表に選出され、女子バレーを背負う有望選手として期待されています。バレーを始めたばかりの弟妹から見るとスターのような存在では? 大友さん:本当にそうみたいです。先日、美空が出場したアジア選手権の試合も家族みんなで視聴していたら「美空かっこいい!」「サーブがすごい!」とめっちゃ子どもたちが盛り上がっていましたね。美空は家だとおっとりのんびりしているタイプなので、キビキビと動く試合中とのギャップにも驚いていました。その後に美空が帰宅したときは、弟妹がみんな「お姉ちゃんリスペクト!」みたいになっていましたから。自慢のお姉ちゃんみたいです。