「キャイ~ンの友達」「バーター」でも腐らない。絶対調子に乗らない芸人の駆け出し時代
バラエティーにドラマにと活躍の幅を広げる、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹。 そんな彼にも、先に売れた同期芸人の「キャイ~ンの友達」を自称したり、バーター出演で出番を得たりした駆け出し時代があった。 初のエッセイ集『どのみちぺっこり』(PARCO出版)には、売れっ子になっても絶対調子に乗ることない、飯尾の原点が綴られている。【BuzzFeed Japan / 神庭亮介】
太ももつねってエンジンブレーキ
――『どのみちぺっこり』を読んで思ったのは、飯尾さんは基本的に調子に乗りたくない人なんだなと。 いや、乗りたいんですけど、すぐ事故るといいますかね。3回連続ウケてるなと思ったら、4回目でスベッたり。そこでスッと我に返るというか。 ――『アンナチュラル』や『獣になれない私たち』などドラマでも大活躍で。イケイケになっても全然おかしくないのに。 いや、全然。でも調子に乗ってる人ってそんないるのかな? そういう時は、太ももをつねってエンジンブレーキですね。
バーターは「着物市」
――駆け出し時代には、関根勤さんやキャイ~ンのおかげで番組にバーター出演できたこともあったと、本に書かれていました。ちょっと謙遜しすぎでは。 いやいや、本当にそうなんですよ。 ――「なんだ、バーターかよ」と腐ってしまう人もいるのかな? と思ったのですが。 えっ、いるのかな。だって見本市みたいなものですもん。着物市とかと一緒ですよね。 ――着物市(笑) そこで目に留めてもらえればチャンスだと。 そうだと思うんですけどね。
「キャイ~ンの友達」というジャンル
《当時の数少ない仕事はキャイ~ンと一緒のことが多かった。バーター的な意味合いもあったのかな。20代の頃、自分たちのコンビにつけたキャッチフレーズが「キャイ~ンと同期」「キャイ~ンの友達」でしたから。 いつも一緒にいたし、本当に仲が良かったから、実際にスタッフさんの中にはそういう覚え方をしていた人もいたと思います》 (『どのみちぺっこり』) ――「キャイ~ンの友達」として扱われたら、普通は腹が立ちませんか? いや、俺は飯尾だよ!みたいな。 そういう気持ちは大事なんだけど、俺にはなかったんだな…って書きながら思ってました(笑) たとえば「このタマネギなんですか?」って聞かれて、「タマネギ科のタマネギです」みたいな。 味を知らない人たちには、とにかくタマネギの一種っていうしかないじゃないですか。こんな変わったタマネギ見せられてもね。 だから「キャイ~ンの友達」。お笑いの種類のひとつ、みたいな。何が面白くて、どういうものに強いかも全然わからないから、しょうがないですよね。 キャイ~ンは「このスタッフはいいな」っていう人を紹介してくれるんですよ。仕事帰りにご飯を食べる時とかに僕たちも呼んでくれて。 あの頃はキャイ~ンのフィルターを通した苦味のない、のどごしのいい人ばっかり会わせてもらってましたね。