ドラマ『天皇の料理番』のメニューを再現 料理人・秋山徳蔵の姿を追う
口や舌はごまかせても、魂はごまかせない
そして、帰国した小川シェフは2007年、東京・麻布十番に初めて自分の店「エル ブランシュ」を持った。シェフは「フランス料理の原点は郷土料理にある」と言う。同じフランス料理でもプロバンス地方では、料理にオリーブオイルを使い、地中海料理としてのイタリアンに近い。アルザス地方は逆に寒い地域であってラードを使う。保存食の文化があるためか、味付けは塩っぱい。ブルターニュ地方は肉と魚の両方が出てくるといった具合だ。これらの郷土料理が融合して、ガストロノミーとしてのフランス料理が成立しているのだという。実際に現地に足を運ばなければ、体で料理を覚えられなかっただろう。 「フランスでは料理に対する考え方を学びました。日本人は切り方など料理を作る過程が大事といいます。フランス人は結果、おいしければ良いといいます。両方を取り入れると、日本人は繊細でおいしいものが作れるんです。ドラマにでてきた『真心』とは(細部をおろそかにしない)日本らしさではないでしょうか」。人並み以上に働き、人並み以上に自分を追い込んでいった先に一流があるに違いない。
福井で生まれ育った三上所長代理は「目標を持って、これと決めたら、信念をもってやる。徳蔵と同じように忍耐強く生きる土壌が福井県にはあるのかもしれません」と話す。 実際の秋山徳蔵はどんな考えの持ち主だったのか。徳蔵は自著『味』にこう書いている。「ものを食うのは、せんじつめてゆくと、口や舌でなく、魂が食うのだ。口や舌はごまかせても、魂はごまかせない。真心のこもった食べ物は、だから何ともいえる味がある」のだと。 取材協力:福井県ゆかりの店 in 東京 ふくいフレンチ特別企画
【フェア参加店】 ◆エルブランシュ(麻布十番) ◆黒船屋 ひこの(神楽坂) ◆シプレ(麻布十番) ◆トロワ・サージュ(飯田橋) ◆はじっこブラスリー アジル ジョーヌ・テラス(麻布十番) ◆フォアグラバル アジルジョーヌ(麻布十番) ◆マルズバー(六本木) ----------- 店名:エル ブランシュ 住所:東京都港区麻布十番2-8-10 パティオ麻布十番 5F 電話:03-5439-4338 定休日:日曜日