涙の生産終了! ピュアにも程があるほどピュアスポーツだったロータス・エリーゼの歴史
四半世紀も愛された真の「ライトウエイトスポーツカー」
ひと口に「ロータス」といっても、人それぞれ、思い入れのあるモデルはさまざまだろう。筆者の場合は、市販車ならやはり「エラン」のシリーズ1だろうか。子ども心に興味を抱き、「FRPボディって軽いんだろうなぁ」などと実車に思いを馳せつつ、小遣いで買ったプラモデルを作った経験がある(モデルはドアガラスに窓枠のついたシリーズ2だったかもしれない)。自身で実車を手に入れるチャンスは訪れなかったものの、自分の生涯で好きだったクルマのトップ100を挙げるとすれば、かなり上位にランキングされると思う。 【画像】どの世代もカッコいいロータスの軽量スポーツカーたち(全31枚)
経営の不安定だったロータス社を救ったヒット作
ところでここで取り上げるのは、1960年代のエランよりずっと近代のモデル「エリーゼ」である。エリート(Elite)、エラン(Elan)、ヨーロッパ(Europa)、エスプリ(Esprit)、エクラ(Eclat)、エクセル(Excel)、さらに最新のエミーラ(Emira)もそうだが、スポーツ系、GT系のいずれもともにロータスの車名は「E」で始まるのが流儀だったが、1995年に登場したエリーゼ(Elise)も、その慣わしに従っていた。 この世に生を受けたこのエリーゼだが、その姿はミッドシップのライトウエイトスポーツカーというものだった。ライトウエイトスポーツといえば、「エラン」やひいては「スーパー7」などにも繋がる、ロータスの王道をいくカテゴリーとなるモデル。ただし「エスプリ」以来のミッドシップレイアウトをライトウエイトスポーツのカテゴリーでやってきたところにロータスの本気度が窺われ、「やるじゃないか!」と思わせてくれた。
軽量・高剛性なアルミ製バスタブシャシー
このエリーゼでは、何としても軽量に仕上げるための方策として、バスタブ型のアルミスペースフレームを採用。当時の資料によればこのシャシー単体重量は68kgの軽さとなっており、しかもパーツの接合部分を溶接ではなく航空工学の技術を採り入れた接着としたり、均一な肉厚を可能にした、当時としては新開発の押し出し成形技術も採り入れるなどして、軽さと同時にシャシーのポテンシャルを高める設計でもあった。 軽量化ではほかに、ブレーキローターにはアルミ複合素材を採用し、鋳鉄製に対し約半分の重さに抑えるなどといったトライも(手元の日本仕様のカタログでは「フロント・リヤ:スチールベンチレーテッド・ディスクブレーキ」となっている)。初期型の車両重量は699kgとなっている。