「自由が丘にこんな施設ができて嬉しい」「でも店のセレクトはちょっと微妙?」…。まもなく開業1周年の、都市型イオンモール「自由が丘 デュ アオーネ」の魅力と疑問点
階段で3階にあがってみると、さらに広いテラスが視界に入ってくる。日によってはここでイベントなどをやるらしい。私が訪れたときは、ここに並ぶいくつかのテーブルで勉強をしている人もいて、ちょうどいい滞留空間になっているようだ。 テラスを巡りながらさらに上にいくと、屋上には「Harappa」という空間が現れる。その名の通り、小さな野原なのだが、そこからは天気がよければ丹沢山系や富士山も見ることができる。自由が丘にいることを忘れてしまいそうな眺望である。
■自由が丘に「大型商業施設」ができる意味 自由が丘は関東大震災後に区画整理が行われたエリアで、それまでは農村地帯だった。 「自由が丘」という地名は、1927年にこの地に誕生した「自由ヶ丘学園」に由来する。かつては幼稚園・小学校(旧制)・中学校(旧制)にわたる大きな学校で、この中の幼稚園・小学校は「トモエ学園」の源流にもなった。黒柳徹子などを輩出した学校としても知られ、『窓ぎわのトットちゃん』の舞台にもなった学校だ。
実は「自由が丘 デュ アオーネ」、この自由ヶ丘学園が元あった場所に建っている。敷地内にはそれを記念する石碑も建てられている。 自由が丘学園は自由闊達の風潮を重んじ、街全体も文化的な香りを持つようになる。そのため、多くの文化人や芸能人もこの街に住むようになり、「自由が丘」ブランドが確立されたのだ。 こうした経緯もあってか、現在でも自由が丘では個人経営の店が軒を連ねており、個性的な街並みを作っている。現在、自由が丘駅前では再開発が進んでいるが、この主体も地元商店街であり、再開発としては珍しい事例である。
こうした経緯もあり、大規模な商業施設があまり建ってこなかったことも自由が丘の特徴の一つ。 そのことは、街としては面白いのだが、一方それゆえの弱点もある。個人店の場合、どうしてもそこに入るのにはハードルが高い。だから、気兼ねなくふらっと入れる場所が少なくなりがちだ。 実際、SNSなどでは「デュ アオーネができて、気兼ねなく街中でトイレに行ける場所ができて嬉しい」なんてポストも。座る場所もたくさん確保されているから、ある意味で自由が丘の街にあるようでなかった施設なのかもしれない。