岡田健史インタビュー「何を全力でやってきたのか、そこに大きな価値がある」
2018年に『中学聖日記』で鮮烈なデビューを果たし、『MIU404』や来年の大河ドラマ『青天を衝け』など、次々と話題作に出演する俳優・岡田健史。公開中の映画『望み』では、建築家の父(堤真一)と校正者の母(石田ゆり子)の長男、高校生の石川規士を演じる。中学生の妹(清原果耶)との家族4人、何不自由ないはずの規士に何が起こったのか。新たな境地を切り開いた彼にこの映画について、高校時代の思い出について聞いた。 【写真】東京で開催されたDiorのショーに岡田健史が出席
原作を読んですぐにファンに。でも、僕なりの規士を演じた
──この作品のファーストインプレッションは? 「規士役のオファーをいただいて、まず原作となった雫井脩介さんの小説『望み』を読みました。父親と母親、男女の考え方の違いを柱にしながら、読者は物語にどんどん翻弄されていく。すぐにこの作品のファンになりました。こんなに面白い作品と出会えたこと、そして僕にこの規士役をオファーしてくれたことが、すごく嬉しかったです」 ──どのように役作りをしましたか。 「小説はすごく面白かったけれど、必ずしも原作に忠実に演じることが良いというわけではないから、物語の本筋を踏まえた上で、岡田健史という素材を使って、台本の中の規士をどう表現するかを考えました。まず、規士の“社会性”を失くそうと思ったんです。例えば、家族4人で食卓を囲んでいるときに、父親から話かけられても目を合わせず、反応しない。その態度を父親は『反抗している』と受け取るかもしれない。社会性がないと、何を考えているかわかりませんよね。もし、僕がインタビュー中に、顔を上げずに机をじっと見つめてたら、こいつ大丈夫かと思いませんか。生命としては生きているけど、人間としては生きてない。そんな状態を意識しました」 ──堤幸彦監督とはどんな話を? 「衣装合わせのときに『反抗期を存分に出して欲しい』と言われたんです。それで、僕の社会性を失くす方向性は間違っていないと感じました。撮影に入ると、堤組は本当にプロフェッショナルな集団で、人数が多いのにチームとしてすごく統制が取れていて本当に素晴らしくて。その中で、僕はのびのびと演じることができました」